物件資料のレントロールを机上で評価する

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物件資料の読み方:レントロールを机上で評価する

不動産投資の世界では、レントロールと呼ばれる資料があります。レントロールとは、各部屋の家賃表のことです。このレントロールが収益物件購入際には、とても重要になります。

 

まずは、現地確認の前に、机上でレントロールの確認を行いましょう。

 

机上でレントロールを確認するステップ

 

【ステップ@:収入が正しいかを確認する】

 

・家賃表はそもそも間違っている可能性があること
 よくあることなのですが、不動産業者に悪気はなくても、家賃表が間違っていることがあります。家賃自体であったり、家賃の合計の集計であったりと。そのため、家賃表をざっとみておかしな家賃がないかどうか、家賃の合計値をざっと暗算できるようにしておきましょう。

 

 

・家賃表には記載されていない収入があるケースがあること
 代表的なのは、自販機、アンテナ収入、コインランドリーです。これらを含めて家賃表を見直す必要があります。

 

 

・水道代を収入に含めている場合がある
 水道代を固定にしている場合があります。各部屋2000円等です。そのため、水道代は収入であるのは、いいのですが、この時に支出として水道代を払う必要がありますので、すべてを収入にすると利回りを見誤ります。水道代については、収入に記載されていても収入から外すか、最大でも50%分までにするのが妥当です。

 

不動産業者から水道代の支出が取れるのであれば、その水道代費用を教えてもらってください。その場合は、水道代受領分から水道代支出を引いた金額を収入としてください。

 

私が保有している物件の例でいきます。1棟マンションで1kが28部屋あります。各部屋から2000円受領しているので、28部屋×2000円=56000円/月が収入に計上されます。そして、支出としては、約4万5千円〜6万円/2か月のため、1か月あたり、2万2千円〜3万円程度になります。したがって、収入対比で50%前後程度になります。

 

【ステップA:家賃が適正かを分析する】

 

・現状家賃に引き直す(昔入居している人は家賃が高い)
 10年前以上に入居している方もいます。そのような方は、家賃が高いままになっています。現在の家賃と2万、3万違う場合もよくあります。現状の実力を見る上では、現在の家賃に引き直すことが必要です。この作業を怠ると、取得後に退去ごとに利回りが低下していくことになります。確認の方法は、Homes、Suumo、atHomeなどの大手ポータルサイトで同じ条件で入れて確認します。

 

 

 

・同じ法人の複数入居の割合を確認する(同じ法人の入居率:30%以内)
 法人が一括借りしているケースは、そもそも融資が難しいです。どのくらいの割合だと危険かというと、30%以上を同じ法人が一括借りしている物件は気を付けておいた方がいいでしょう。初心者は避けておいた無難です。

 

 

なぜかというと、シングルとファミリーで若干違いますが、毎年20%程度が入れ替わると想定してください。その入れ替えに、法人一括借りの入居者が一斉にでていくと、50%が入れ替わり=空室募集の対象となります。そうすると、募集が大変になり、返済に困るケースがでてきます。

 

 

返済比率50%を想定しているので、50%の空室で、返済がやっとで、その他の経費は持ち出しになります。この水準に来ると、とても危険です。

 

 

初心者の目安としては、同じ法人の複数入居は、15%程度の部屋数にしておいた方がよいでしょう。

 

 

・同じ契約年月の入居者を確認にする

 

 学生物件の場合は、同じ契約年の学生は、同じ年度に一斉に退去することになります。そのため、同じ契約年が40%あると、その年に40%の入れ替わりの可能性があるということになります。25%が望ましいですが、そのような配分には基本的にはならないので、40%程度までは許容せざるを得ないのが実態です。

 

通常の社会人、学生が混在する物件で、同じ契約年が多い場合、何かの条件をつけて一気に埋めた跡になります。そのように無理に埋めているケースは入居から退去までのサイクルが短くなるので、初心者は気を付けた方がいいでしょう。

 

まずは、基本的なレントロールの確認事項となります。したがって、物件概要からみて購入に値する物件と判断した場合は、レントロールの確認を必須で行いましょう。

 

 

【ステップB:融資が受けれる物件かどうか】

 

・店舗・事務所比率が30%未満であること
 店舗・事務所比率が30%以上になると、個人向けのアパートローンは難しくなります。大規模大家で実績があるなどの条件がないと、店舗・事務所比率の高い物件へのチャレンジは厳しいでしょう

 

 また、初心者には、ゲストハウスやシェアハウスなどの場合も寄宿舎扱いになり、融資を引くのはとても難しくなるので、事前に確認しておきましょう

 

 

まとめ
・家賃表が正しい数字かチェックすること
・家賃は、現状で募集して決まる家賃に引き直すこと
・融資が引ける店舗・事務所比率か確認すること

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