不動産投資をする上で賃貸経営の目的は大きく4種類ある

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不動産投資・賃貸経営の目的

賃貸経営は、目的によって大きく進め方が変わってきます。インカムゲイン(家賃収入狙い)とキャピタルゲイン(値上がり益狙い)については触れてきましたが、それ以外の目的もあります。

 

まずは、インカムゲイン(家賃収入狙い)とキャピタルゲイン(値上がり益狙い)について整理しながら、企業や個人の利益圧縮目的の節税対策や相続税対策についても説明します。

 

目的が異なれれば、活かす投資手法はまったく異なります。私にとってはインカムゲイン(家賃収入狙い)が王道ですが、見方が変われば何が一番良いかは人それぞれだということを理解してください。

 

私にとってどの投資法が良いか? と聞かれても、その人の個人的な資産背景や目的を詳しく聞かなければ簡単に答えることのできない質問です。その回答は自分の中にありますので、自分が何を目指して現物の不動産投資の世界に踏み込むのか自身で整理してください。おおよそ、下記の中にほとんどの方は入ります。

 

インカムゲイン(家賃収入狙い)
@セミリタイア、リタイアが目的
 家賃収入でリタイアできる月額100万程度の手取りキャッシュフローを目指している方が多いゾーンです。利回りが高く、キャッシュフローの出る物件を探しています。専業大家を目指しているため、とても勉強熱心で知識獲得意欲が高く、いつもセミナーに参加しているような方です。

 

 セミリタイア、リタイアを目指している方は、2種類に分かれます。

  • 高利回り派:物件は、郊外かつ築古でとにかく高利回りな物件が対象。木造・軽量鉄骨アパート中心。築古物件は、融資難易度が高く、入居者ニーズも低いので賃貸経営力が必要

 

  • キャッシュフロー派:物件の場所は拘らず、銀行融資と返済比率があえば全国の物件が対象。RC1棟マンション中心。セミリタイヤ、リタイアする方は高利回り派より多い。

 

A年金代わり目的
 家賃収入で老後の年金の足しになればよいと考えて投資を始める方です。もっとも投資家の層が厚いゾーンとなります。専業大家を目指しておらず、片手間でできる楽な投資を目指している方です。

 

 物件の取得タイプとしては、2種類に分かれます

  • 現金購入派:リスクが怖いので低額(300万〜700万)の区分マンション、もしくは築古戸建が対象。物件の場所は全国が対象。区分マンションもしくは戸建、小規模な木造・軽量鉄骨アパートが中心。最も投資家層が多く競争が激化しているゾーン。市場に物件が出るとすぐに無くなってしまうほど人気がある。現金購入は投資効率は非常に悪いが、リスクに最も強い投資のため、根強い人気がある

 

  • 新築区分投資:都内の新築区分マンションが対象。2000万前後の融資を受けて購入。一時期ほどではないがサラリーマンに根強い人気がある。年金代わりのため、あまり月々のキャッシュフローを考えずに、返済が完了した後を楽しむ人が多い。但し、実際に儲かるのか疑問の多い投資

 

キャピタルゲイン(値上がり益狙い)
基本は、プロの世界。サラリーマンや初心者が手を出す分野ではありません。プロ以外は、安く買った結果、ラッキーでキャピタルゲイン(値上がり益)もというレベルです。安く買っていればキャピタルゲインが取れることは良くありますが、あくまでもタイミング次第ということです。

 

プロである業者は、どのような物件でキャピタルゲインを狙っているかというと、下記のようなケースです。

  • 再生案件:全室空室の物件(ホテルや旅館含む)や自殺や事故があった物件などを市場の半値等で購入し、再生してから一般のお客へ販売する

 

  • 転売物件(中間省略含む):相続案件や任意売却案件を仕入れ、一時保有するか即一般のお客へ転売します。あまり聞いたことはないかと思いますが、中間省略という方法を取って売却することがあります。収益物件の売買ではよくある取引のひとつです。中間省略とは、不動産登記において、売主⇒業者⇒買主の順で登記がされるのですが、中間者の業者の登記を省略し、最終的に物件を取得した者が直接登記を移転することです。中間者の業者は、手数料がかからないことがメリットです。

 

節税狙い
儲かっている企業や個人が、所得税の圧縮を狙い、現物の不動産を購入することがあります。この場合は、高利回りよりも節税の源泉である建物の比率の大きいもので、転売時にも値下がりしにくい物件を狙っています。

 

対象は、都心物件が多いのが特徴です。都心は、土地の時価は高いのですが、固定資産税という税金の評価では低く見積もりされます。建物は、郊外でも都心でも変わらないので、都心の物件の方が建物価格が高く出やすいという傾向があります。そして、都心物件であれば、売却するときにも売りやすいということがあります。

 

建物は、減価償却という経費化ができるので、建物比率が大きいと節税になるという仕組みです。

  • 企業:利益の出ている大きな会社になると、数億から数十億の商業ビル、大型賃貸マンションから1億内の木造アパートなど対象は様々ですが、エリアは都心部が中心。減価償却という経費の大きさと物件がマッチすれば、購入するというスタンス

 

  • 個人:高額年収のサラリーマンは、新築区分マンションが主流。新築区分マンションは、売却するときに値下がりすることが多いので、経費化して節税したと思っても物件の値下がり分が経費になっていただけということもあり得る投資になります。高額年収のサラリーマンは収支計算をしてから投資判断をした方が良いでしょう

 

相続税狙い
節税のひとつではありますが、相続税の圧縮を狙っている方です。相続税の細かい内容は、ここでは触れませんが、現金1億で保有しているより、そのお金で収益不動産を購入した方が相続税が低くなるからです。また、土地のままよりも土地の上に建物を建てた方が相続税が低くなるためです。

 

町の本屋に、「アパートを購入して相続税を圧縮」、「タワーマンションで相続税を圧縮」などの本がたくさんあるのを見られた方もいるでしょう。

 

  • 地主系:農家や土地持ちの地主が相続税を圧縮するために、敷地に新築アパート、新築マンションを建てます。場所は、自分の敷地のため、競争力があるかないか二の次で、駅から離れていても借入をして建ててしまいます。そのため、収支を考えずに始める方もいて、収支悪化で自宅を売却するなど不幸なトラブルが多いのも特徴です。本来は、競争力のない土地は売却して都心への資産組み換えが正解なことが多いですが、そこまで実行している方はとても少ないのが実態です。

 

  • 株長者系:自社株を売却して突如お金持ちになった方や金融機関の高額サラリーマン(年収1億等)に多いのが、都心のタワーマンション(区分)を購入される方です。借入はせず、現金で1億から2億程度までの都心の高額物件を購入しています。東京都心の物件のため、値下がりリスクは低いですが、利回りは期待できない投資となります。高額のタワーマンションを他人に貸したりしないケースでは国税から相続税の圧縮を認められないケースも多く、勘違いの相続対策で失敗しているケースが後を絶たないのが実態です

相続対策は、税務的な専門的知識と賃貸経営力の両方が必要なのですが、私があった地主や株長者の方は甘くみて失敗しているケースが多く、相続税狙いは勉強してから進めてください。

 

まとめ
・インカムゲイン(家賃収入狙い)だけでなく、様々な狙いを持った人が参入していること
・自分の狙いがどこにあるのかを整理すること
・節税や相続税の圧縮を狙う方法は、専門的な税の知識が不可欠であること

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