賃貸経営の仕組み
賃貸経営は、賃貸物件を借りたことがある人であれば、非常に想像しやすい仕組みとなっています。基本の業務の流れは「建物・部屋の取得」、「入居者募集、賃貸借契約」、「物件・入居者の管理」、「入居者の退去・原状回復」、「入居者の再募集」になっています。その他には、月次での収支確認、確定申告・決算作業があります。
不動産投資家・賃貸経営者が主となって行うのは、部屋の取得、管理のコントロール、確定申告・決算作業になります。
◎基本的な流れ
仕入れ 「建物・部屋の取得」:不動産投資家・賃貸経営者
他のビジネスと同じように仕入れを行います。物販であれば商品を仕入れしますが、賃貸経営では、仕入れするものが建物や部屋に代わるだけです。区分マンション、1棟アパート、1棟マンションは、主に不動産会社から仕入れを行います。
仕入れで収支構造の大半が決まってしまうため、この仕入れがとても重要になります。仕入れで失敗しなければ、成功にかなり近づいたことになります。そのため、この仕入れに関する投資戦略と個別のテクニックは必ずマスターしていかないといけません。
投資戦略なしに始めると、最初大きく拡大しようと始めたのに、2棟目以降に融資がつかず拡大ができなくなった人や、デメリットを深く考えずに始めた方は、大きな規模まできたが、賃貸経営力がついていないなど多くの問題が発生します。
仕入れを制することが、不動産投資の成功の鍵であるといことを理解しておきましょう。
広告・営業 「入居者募集・賃貸借契約」:賃貸募集店 エイブル、ミニミニ、アパマン等
・広告(集客)
入居者を集客して営業するための業務は、賃貸募集店のエイブル、ミニミニ、アパマン等が行います。この入居者を集客するところがとても重要です。ここが強いか弱いかで、稼働率が大きく変わってきます。
広告は、主にポータルサイトへ掲載で行われます。部屋の写真や間取り図をHomes等のポータルサイトへ掲載することで、入居希望者から問い合わせがあるのを待ちます。本来は、潜在顧客を囲い込むマーケティングと組み合わせると抜群の効果があるのですが、まだマーケティングをできる賃貸募集店はほぼありません。
マーケティングと称してTVに大規模に放映している程度なので、マーケティングというよりは、単なる広告にすぎません。そのため、入居者がポータルサイトを検索して始めて効果の出る手法となっていますので各社それほど差がなく、Homes等にきちんと掲載されていることがとても重要になっています。
・営業
営業は、問い合わせしてきたお客に対していくつか部屋を紹介し、部屋の案内を行います。その後、住みたい部屋が決まれば、申込を行います。申込時には保証会社および大家の審査を経た後に、正式な賃貸借契約の締結となります。
この営業活動が、実際に部屋の入居付けを決めます。営業員に自分の部屋をきちんと知ってもらい、案内まで結び付け、優先的に部屋を決めてもらえるように営業員のモチベーションを上げていく必要があります。詳しくは、空室対策のカテゴリで説明していますので、見ておいてください。
管理 「物件・入居者の管理」:管理会社もしくは大家
管理には、多くの業務が含まれています。募集する際の条件設定、物件の建物の管理、設備の管理、入居者からのクレーム管理、退去連絡の管理、滞納督促などがあげられます。このような業務をすべて大家自身が行うのは限界があります。
そのため、管理の中で判断業務以外は、多くの場合は管理会社に委託する方法を取ります。管理会社が提案してきた募集条件の内容を、大家が判断する、などのように判断する部分だけ行えばいいのです。
これで管理に関しては、かなり楽になります。すべて自分でやっていたらサラリーマンの人はやってられません。この管理をプロに任せる仕組みがあるのが、とても素晴らしい点です。既に管理会社の業務は、昔から発展してきているため、素人でも優良な業者を見極めやすくなっています。
入居者の退去・原状回復:管理会社もしくは大家
入居者の退去は、賃貸経営していると、毎回ドキッとします。稼働率が下がるわけですから、連絡としては最も受けたくはないですが、毎年15%程度は必ず入れ替わりますので、慣れていくよりありません。
入居者の退去を受け付けたあとは、部屋の精算のために、退去立ち合い日を決めます。そして退去立ち合い日に、部屋の状況をみて、入居者と大家負担の割合を決めて精算していくことになります。管理会社が入っていますと、国交省のガイドラインおよび契約書の特約事項をもとに、退去精算書を作成し大家へ送付されてきます。
問題がなければ、その退去精算書をもとに、精算を行うことになります。ただ、退去精算は、入居者と揉めることがあります。そのため、なるべくなら管理会社を入れておいた方が、精神的にも楽になります。基本は、国交省のガイドラインをベースにすると、入居者に負担してもらう金額は低くなることは覚悟しましょう。
退去後、原状回復工事を行います。原状回復工事とは、再度入居者募集できるように部屋を商品として売れるレベルにする工事のことを指します。つまり、壁紙がはがれていたら貼りなおす、床が汚れていたらクリーニングする、など次の入居者が住むことのできる状態にします。
原状回復工事は、前の入居者が汚したり、壊したりしたのだから前の入居者にすべて請求したいところですが、そのようになっていません。基本は、国交省のガイドラインをベースに入居者と大家側の負担が決まります。
国交省のガイドラインは、入居者有利となっていますので、入居者の負担割合は長く住むとゼロに近づいてきて、原状回復工事は大家負担で実施することがほとんどなります。そのため、経営の視点からすると、原状回復は大家が負担するシミュレーションをしていきます。
この原状回復工事の費用は、賃貸経営の中でも大きなコスト割合を占めるのでリフォームに関する知識をみにつけて、いかに安く良質な工事ができるかを追求していくことが必要になります。
◎会計・経理
月次の収支確認
管理会社を入れている場合は、月次で収支報告書が送付されてきます。その中には、家賃収入と掛かった支出項目があり、差し引きの金額があなたの口座に振り込まれます。
・家賃収入:入居している人が家賃の支払いをしているか確認します。滞納している方は、保証会社が入っている場合は保証会社から支払われます。もし保証会社が入っていない場合は、管理会社が督促します。
・支出:管理費、広告費、建物設備管理費、リフォーム費、清掃費などがあります。
・管理費:管理会社へ委託している管理費用となります。家賃収入の5%前後
・広告費:賃貸仲介店舗が賃貸契約を獲得した際に支払う広告費用となります。家賃の1か月〜2ヶ月程度
・建物設備管理:エレベーターや貯水槽など設備の有無のよってコストが変わります。
・リフォーム費用:原状回復費や管球交換費用などが含まれます。
上記の家賃収入から支出を引いた金額が、記載されていて、口座に実際に振り込まれます。この収入から借入の返済などに充てることになります。
確定申告・決算
確定申告では、1年間の収入、経費から所得を算出し、納める税金を計算します。決算・税務によほど詳しくない限りは、基本的には、税理士にお願いした方が、良いでしょう。私は、会計、税務知識はありますが、すべての決算作業(個人、法人3社)を税理士にお任せしています。
確定申告・決算作業はとても大変な作業です。特に初心者の方であれば、税理士に頼むと報酬が発生しますが、経費が税務署に認められるかどうかなどは専門性が高いので、最初は諦めて税理士にお任せした方が無難です。
まとめ
・不動産投資・賃貸経営の仕組みはとてもわかりやすい
・不動産投資家・賃貸経営者は仕入れが重要
・仕入れ以外では、経営者として判断することが業務
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