不動産投資では、建物調査・周辺調査は必ず行う

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現地調査:建物調査・周辺調査

インターネットで自分の希望に合う収益物件を見つけたり、不動産会社からお勧めの収益物件を紹介された場合は、実際に購入を決める前に、必ずその物件の「現地調査」をする必要があります。どんなベテランの不動産投資家でも、成功を収めている人のほとんどは、実際に物件を購入する前に、必ずその物件の現地まで足を運んで、自分の目で見て確認しています。

 

物件概要書・レントロールの分析後、投資対象となる場合には、買付を出す前に必ず、現地を見てから判断するようにしてください。不動産投資の初心者で失敗するケースは、今すぐ買付を出さないと1番手が取れませんよ、という不動産業者のプレッシャーに負けて、見ずに買付を出して契約を結んでしまうことです。

 

現地調査で見るポイントは、2つだけです。

 

・入居者に反社会勢力がいないかどうか

 

・建物が問題ないかどうか

 

これだけです。

 

物件の現地調査の際に、具体的に「どこ」をチェックすればよいのか、そして「なぜ」それをチェックする必要があるのかについて解説したいと思います。

 

入居者に反社会勢力がいるかの見極め方
基本的には、反社会勢力の方が入居している物件は、一般市場では売買できません。契約書の中に、反社会勢力の方が入居している状態で引き渡したことが分かった場合には、違約金が売買価格の80%などに設定されているため、高額な損害賠償の対象になるからです。

 

したがって、売買契約上は、反社会勢力の方が入居しているか気にしなくても問題はないように感じますが、明確に構成員として認定されておらず、微妙な場合というケースが多いのです。警察に構成員として登録されておらず、明確に反社会勢力とは言えないが、明らかにおかしいということがあります。

 

このような物件を取得してしまうと、警察の協力も得られない中、自力で解決を図るか、見過ごすしかなく、精神的に苦痛を伴うものとなりますので、可能な限り、反社会勢力に近い方が住んでいる物件は、相当なプロでない限り購入しないようにした方が無難です。

 

チェックとしては、

 

  • 他の部屋にはないのに、窓やドアに柵が設置されていて、明らかに防御柵といえるものがある等違和感を覚える場合は、近隣の不動産業者に必ず確認する

 

これしかありません。今時、XX組のような形で目立つように入居していることはありません。女性が賃貸契約をして、実際は、反社会勢力の方が住んでいる、というような目立たない形です。そのため、非常に見極めが難しいのですが、不動産業者に聞くとある程度のことはわかります。

 

特にXX組の事務所のような場合は、ほぼ不動産業者は把握しています。不動産業者も彼らともめたくないので、地域のどこどこに何があるかを把握しておかないと営業ができないからです。

 

その時に確認する業者としては、売買を中心に扱う不動産業者と賃貸を中心に扱う老舗の不動産業者の両方に聞いてください。意外にも、賃貸中心の不動産会社の方が、精通している場合があります。個別の部屋に変な人がいるかどうかは、賃貸仲介の方が出会う可能性が高いからです。

 

あと、現地に見に行った際に、住民の方と話せる機会があれば、不審な人がいないかを確認することもかなり有効です。ただし、その時には、自分の身分とアパートの購入予定者であることをきちんと伝えないと、不審者と思われます。

 

他の本には、入居者にできるだけ確認した方がいい、近隣の飲食店でもヒアリングした方がいい、という情報がありますが、そこまで実施しなくても大概のことは上記確認だけでわかります。あまり聞きまわると、売主にクレームがいき、商談自体が壊れることもありますので、状況に応じて判断してください。

 

警察に行き確認する方法もありますが、本当に危険性が高いと思えるケースのみになると思います。警察では、暴力団対策としてどこに住んでいるかを把握していますので、教えてもらうことは可能です。ただ、警察で登録されているような物件であれば、一般の流通市場に載せられないので、ほとんど可能性が低く無視してもよいくらいの確率でしょう。

 

 

建物調査でチェックすべき項目とは
購入予定の収益物件を現地調査する際には、最低でも以下の項目については押さえるようにしましょう。

 

@管理状況
まず確認すべきは物件自体の「管理状況」です。「共用部分はきれいに掃除されているのか」といった基本的な部分は、購入する前に必ず確認が必要です。特に区分マンションの場合は、管理組合が委託した管理会社が管理を行なっているため、管理会社を容易に変更することができません。

 

そのため、既存の管理状況が良好であるかどうかは非常に重要な要素となるのです。管理状況を把握するために必ず見るべき場所は以下の通りです。

 

1:エントランス部分
物件のエントランスはまさに「顔」です。そこが汚いマンションは、どんなに家賃を下げても決まりません。そのため、エントランス部分の清掃状況は細かくチェックしましょう。ここが、汚いマンションは、当然値下げ交渉に使うものです。

 

2:ゴミ置き場
管理状況をチェックする上で、最も手っ取り早い方法は「ゴミ置き場」を見る事です。特にその物件専用のゴミ置き場がある場合は、その場所の管理状況がイコール物件全体の管理状況と言ってもいいほど、如実に反映されています。

 

ゴミ置き場がきれいに掃除して整頓されていれば、一安心と言えます。反対に、ゴミの分別もされておらず、虫が湧いているような場合は、管理状況だけでなく、入居者の属性にも疑問が出てくるため値下げ交渉の材料に使いましょう

 

 

A劣化状況
管理状況の次に見るべきは「劣化状況」です。建物は新築でない限り、必ずどこかしらが劣化しています。この劣化状況をチェックする際のポイントは、以下の2点です。

 

1:劣化の程度が「築年数相応」と言える状態か
中古物件の場合は必ず劣化しています。ポイントは、その劣化状況が築年数と比べてどうなのかということです。

 

例えば、タイルの剥がれが所々見受けられる場合でも、築年数5年の場合と10年の場合とではその意味がまるで変わってきます。劣化していることが悪いのではなく、「劣化速度」が早いかどうかという観点から見る事が重要なのです。

 

具体的な項目として、クラックの程度、雨漏りの程度、木造の場合はシロアリ、床の傾きや腐っていないかどうかなどについては必ずチェックしましょう。

 

【建物のチェック】
・建物の傾き:周辺の地盤と段差がないか、建物の基礎にひび割れが入っていないか
・雨漏り:RCで屋根に登れる場合は、防水状態を確認。木造等は軒天を確認
・塗装:外壁の状態
・水回り:お風呂が人気のないバランス釜か、トイレが和式か、赤水が大量に出ていないか
・シロアリ:柱や床がぶよぶよしていたら、専門家に確認要

 

 

2:劣化を補修するために必要となるおよその費用
劣化箇所が分かったら、次に確認すべきは劣化を改善するためにどの程度の費用が将来的に必要になるかと言う事です。

 

例えば、屋上防水が劣化してきているのであれば、それを修繕するためにはいくらの費用がかかるのか、鉄部が錆びているのであれば,鉄部塗装にいくらかかるのか、といった事を同時に確認しておくことが重要です。

 

なぜなら、中古物件に投資する際に、こういった大規模なリフォームが必要になる場合は、必ず購入価格にプラスして見積もってから利回りを計算する必要があるからなのです。したがって、現地調査に行く際にはできる限り前もってリフォーム会社も同席してくれるよう手配し、当日一緒に劣化状況をチェックしてもらうと良いでしょう。

 

最初のうちはリフォーム会社の立会いは有料となるでしょうが、何度も同じリフォーム会社を使って施工しているうちに、無料で来てくれるような信頼関係を構築することが理想です。

 

Bレントロール
レントロールとは賃貸借の条件一覧のことです。すなわち、事前に売主から入手していた情報通りに稼働しているかどうかを現地でチェックします。

 

例えば、賃借人と別人の表札が出ていないか、現状空室の部屋数が事前の情報と合っているかなど、既存の情報との答え合わせを行ないます。売主の中にはほとんど物件現地を見た事がない人も多く、売主自身もレントロール通りに稼働できているかどうか正確に把握できていない場合もあるため、必ず自分自身の目で見て確認するようにしましょう。

 

C周辺調査
物件の周辺情報として特に重要なのは「環境面」です。例えば、臭い、音、振動といったいわゆる人の「五感」で感じる部分については、現地に行ってみないと分かりません。

 

図面上だけで判断すると、こうした五感に関する情報が完全に抜け落ちてしまいますので、現地に行った際には必ず五感で感じた情報をしっかりメモするようにしましょう。

 

現地調査をするもう一つの意味とは
このように現地調査をすることで、本当に投資に値する物件なのかどうかを見極める事ができますが、現地調査の目的は値下げ余地を探ることです。現地調査によって何らかの「マイナス要因」が見つかれば、それを理由に交渉することで「指値」を通しやすくなるのです。単に値下げを要求するよりも非常に効果的ですので是非試してみてください。

 

まとめ
・反社会勢力が入居していないこと
・建物の状態に問題ないことを目視でできるだけ確認する

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