不動産投資では、銀行への返済比率で借入の安全度を把握する

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返済比率が借入の安全度を示している

返済比率という言葉は、不動産投資家、賃貸経営者の集まりでよく出てくる用語です。返済比率とは、家賃収入に対して、銀行にどれだけお金を返しているかの比率です。この返済比率は、賃貸経営の安全度を表しているので、とても重要な指標となっています。難しい概念ではないので、しっかり頭に入れましょう。

 

返済比率とは
返済比率とは、「家賃収入」に対して「返済額」が占める割合です。
計算式としては、下記となります。

 

 「毎月返済額」÷「満室時の毎月の家賃収入」

 

計算式はいたって簡単です。毎月の返済額が50万で満室時の毎月の家賃収入が100万であれば、

 

 「毎月返済額 50万」÷「満室時の毎月の家賃収入 100万」=0.5=50%

 

つまり、返済が家賃収入に対して半分占めているというイメージです。この割合を見るだけで賃貸経営が安全かどうかがある程度分かってきます。自分の家を購入する際に住宅ローンを組みますが、その時にも年収の25%以内が安全だというような指標は良く出てきます。それと同じです。

 

私のプロフィールにこの返済比率を記載しています。「毎月の総返済額」÷「毎月の総家賃収入」の計算で40%未満に抑えていることがわかります。それでは、どのくらいの数字であれば、安全といえるのでしょうか。

 

安全な返済比率の水準は
銀行に返済する割合が低いほど、安全度は高まります。住宅ローンを借りている方は想像しやすいと思いますが、収入に対して40%の支払よりも10%の支払の方がいいですよね? では収益物件を購入する賃貸経営の視点ではどのくらいの水準が安全圏かというと50%以内になります。目標としては40%以内も目指して欲しいですが、実現するにはかなりの知識と運が必要になります。

 

どうしてそのような計算になるかを簡単に記載します。月の家賃収入が100万とした場合に、経費として20%の20万円はかかってきます。空室も10%〜15%程度は見込む必要があります。

 

【安全圏:返済比率50%の場合のキャッシュフロー】

 

返済比率が50%ですと、ぎりぎり安全圏といえるでしょう。空室損を織り込んでいるので、これ以上空室が出たり、修繕経費があっても、収支がまわる水準です。ある程度の規模までは、この水準以下をキープするようにしましょう。返済比率が50%程度の物件であれば、地方であれば見つけることはできるでしょう。東京都心や神奈川で見つけるのは困難です。

家賃収入/月 +100万
経費/月 ▲20万(家賃収入20%)
空室損/月 ▲10万(家賃収入10%)
返済額/月 ▲50万(家賃収入50%)
差し引き合計/月 +20万(家賃収入20%)

 

その他のケースも見てみましょう。

 

【より安全圏:返済比率40%の場合のキャッシュフロー】

 

返済比率が40%程度になると、月のキャッシュフローが家賃収入が30%程度残るので、突発事項に強い体質になります。この水準までくると安全圏といえるでしょう。ただし、40%をキープできる物件は、市場にほとんどないため、この水準をキープする物件を獲得を目指すのであれば、地方物件を丹念に探し、競争相手より早く購入するスキルを身につける必要があるでしょう。相当な覚悟必要ですがトライする価値はあります。

 

家賃収入/月 +100万
経費/月 ▲20万(家賃収入20%)
空室損/月 ▲10万(家賃収入10%)
返済額/月 ▲40万(家賃収入40%)
差し引き合計/月 +30万(家賃収入30%)

 

【やや危ない:返済比率55%の場合のキャッシュフロー】

 

返済比率が55%程度になると、月のキャッシュフローの余力がほとんどなくなってきます。突発的な修繕費用が発生すると、単月では赤字キャッシュフローになりやすいでしょう。ただし、物件としては、比較的でてくるゾーンとなってきますので、多くの方がこのレベルの投資をしています。常に危機意識をもち、コストを圧縮していくことを考えて運営していく必要があります。

 

 

家賃収入/月 +100万
経費/月 ▲20万(家賃収入20%)
空室損/月 ▲10万(家賃収入10%)
返済額/月 ▲55万(家賃収入55%)
差し引き合計/月 +15万(家賃収入15%)

 

【危険:返済比率60%の場合のキャッシュフロー】

 

返済比率が60%程度になると、月のキャッシュフローの余力はほぼなくなります。ちょっとした変動で毎月赤字のキャッシュフローになります。一番多いのが、このレベルの物件です。特に地銀の4.5%で借入して購入した方の多くは、この水準を超えています。店舗比率が20%程度とそれほど高くない水準でも、その店舗ひとつ抜けただけで月の収支が赤字になってきます。

 

店舗比率が高ければ、他の所得からの持ち出しが常態化します。多くの不動産投資家がこのようなレベルで投資をしています。とても危険な収支構造のため、はじめて投資する方はこの水準では決して投資はしないでください。

 

家賃収入/月 +100万
経費/月 ▲20万(家賃収入20%)
空室損/月 ▲10万(家賃収入10%)
返済額/月 ▲60万(家賃収入60%)
差し引き合計/月 +10万(家賃収入10%)

 

月の返済額の出し方
月の返済額を出すためには、ローンシミュレーターを使います。いろいろなシミュレーターがあるので好きなものを使えばいいのですが、参考までに下記のシミュレーターを載せておきます。私が常に使用しているのは、スマホアプリで、常に計算できるよういしています。

 

http://keisan.casio.jp/exec/system/1256183644

 

入力項目に必要事項を入れます。
・借入金額:借入する金額
・返済方式:基本は元利均等方式。元金均等返済方式もありますが返済額は当初アップします
・返済頻度:毎月
・当初金利:借入する銀行の金利をベースとする。2%等
・返済期間:借入する期間。10年、20年等
・借入年月:借入をスタートする年月。適当に入力で良い

 

 

入力結果としては、毎月の返済額だけでなく、利息分や元金の減り方が確認できます。

 

まとめ
・銀行からの借入返済額は、満室家賃収入に対し、返済比率50%までとする
・より安全性を求めるのなら返済比率40%を目指す
・返済比率を下げれば、下げるほど物件取得の難易度は上がる

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