資金計画:利益ベース
今回は、不動産投資の計画を利益ベースでみていきます。利益は売上からすべての経費を差し引いて残った数字が利益となります。キャッシュフローとはまた違った計算になるので注意するようにしましょう。
不動産投資は、この利益を計算すると、税前キャッシュフローが意外と手元に残らないことがわかります。
不動産投資の場合は、減価償却費という実際には出ていかない経費を帳簿上経費として計上していきます。その他に経費として計上できるのは管理委託費や修繕費、また借入をしているのであれば建物にかかる金利など様々あります。
投資シミュレーションは難しいので、まずは、不動産投資計画において「利益ベースでいくらが残るのか」について考えていきましょう。
売上の基本は家賃収入
不動産投資で売上の基本となるのは家賃収入です。その他に看板広告の収入や自販機収入、最近では太陽光収入とありますが、不動産投資では実際には家賃収入以外ないことがほとんどです。また、更新料も売上の一部になります。最近は、更新料から仲介会社の手数料が差し引かれてプラスマイナスゼロのことが多いですが。
不動産投資としての一般的な経費
不動産投資における経費は様々あります。税前キャッシュフローの計算と基本的には同様です。
・管理委託費:一般的には家賃収入の5%程度
・建物の点検・清掃費:月に2回程度、1回約1万円程度
・修繕費:家賃収入の7%程度
入退去において発生する原状回復工事、給湯器やエアコンなどの設備不具合による修理・交換
・広告費:家賃収入の5%程度
賃貸物件で退去が発生すると、賃貸募集を依頼することになります。賃貸物件の契約が成立した時に広告費として一般的には賃料の1ヶ月分〜2か月分を支払います。1か月分であれば、家賃収入の2.5%程度になりますが、最近は2か月かかることも多くなり、5%程度で見積もることが多くなっています。
・固定資産税・都市計画税:目安 物件価格 RC1%程度、木造0.5%程度
いわゆる「固都税」がありますが、金額は固定資産税評価額が基準となる課税標準に対して1.7%となります。ただ、固定資産税評価は基本的には所有者でないと確認が出来ないため、便宜上として物件価格の1%とします。
・火災保険料:家賃年収の2%程度
・減価償却費:取得時に払った建物価格を法定耐用年数により減価償却していくことで毎年の経費を計上。※毎年はキャッシュフローがでていかないことがポイント
・返済金の金利:金利分が経費 ※ただし年々少なくなる
?返済金の元金部分は、経費にできない。
売上から経費を差し引いての利益を計算する
家賃収入の売上から様々な経費を差し引いた場合に、利益がいくら残るか計算してみます。
【具体例】
鉄筋コンクリート造マンション4階建、築年数17年(償却年数30年)、エレベーターなし、物件価格1億2000万円、家賃収入1ヶ月100万円、年間1200万円(利回り10%)とし、諸費用は自己資金で出し、融資利用フルローンでとします。借入の条件は30年金利2%とします。この時の建物分は60%で7200万円とします。
毎月家賃収入が100万円入ることとなり、賃貸管理費や修繕費などの諸経費を家賃収入の20%とすると差引80万円となります。ここから毎月の銀行への返済分44万円を差し引いた金額が毎月のキャッシュフローになりますが、利益計算は違ってきます。
利益計算としては経費算入できる金額のみ差引できます(元金は経費にならない)。基本的には支払い金利が経費として認められていますので、1ヶ月当たりの支払い金利は20万円となり、この金額を利益から差し引きます。
ここまでで、毎月の利益は60万円、年間利益は720万円となります。ここから固都税120万円、火災保険料20万円を利益から差し引くと580万円です。
また、建物の減価償却費として1ヶ月あたり20万円、年間で240万円となります。この減価償却費を上記の利益から差し引くと340万円が最終的な税引き前の利益となります。
この税前利益に、税率が20%〜50%前後までかかることになります。個人や法人によって大きく異なりますが、ざっくり30%程度で見積もっておくと良いでしょう。個人の高額サラリーマンは、法人で取り組んだ方が良いことがわかると思います。
まとめ
・税前キャッシュフローと異なるのは、減価償却費が経費にできるところと、元金返済分が経費にできないところがポイント
・賃貸経営は、元金返済分が経費にできず、返済金利分の経費が減っていくので、利益が出やすいビジネス
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