不動産投資、賃貸経営で使われるDSCR(借入償還余裕率)を理解する

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用語:DSCR(借入償還余裕率)

不動産投資では、銀行からの借入をして拡大していくことが多くあります。そして、不動産の投資額も大きいため、借入金そのものが大きくなります。つまり、全額自己資金で行う方は除いて、借入金をした投資には当然返済できなくなるリスクが存在します。

 

借入をするからこそ不動産投資が拡大できるのですが、その裏には当然借入金というリスクが存在することになります。その借入金のリスクをどのように把握するか、というとDSCRという指標を使います。

 

まず、この横文字のDSCRという用語は忘れていいです。借入にどのくらいの余裕があるかを見る指標だということだけ覚えておいてください。業者がDSCRを説明しだしたら、そんな指標だったねというくらいで大丈夫です。最近、このような専門用語を使いたがる不動産業者が増えてきて、わからない人をだますことに使わないで欲しいと願っています。

 

借入償還余裕率(DSCR)とは
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)とは、借入金返済の安全性を見るための指標であり、DCRあるいはDSCと呼ばれることもあります。DSCRは、次の式で表すことができます

 

 借入償還余裕率(DSCR)=正味稼働利益(NOI)÷元利金返済額

 

となります。

 

とても複雑に見えますが、至って簡単なのです。まずは、正味稼働利益であるNOIを見ていきましょう。

 

・NOI
NOI(Net Operating Income)は、よくネット利回りとでてくる、あのネット部分にあたります。家賃収入から様々な経費を除いた営業利益を指しています。経費は、管理費、固都税、修繕費、光熱費、保険料などが該当します。

 

この経費には、支払い利息やローン返済額、所得税、減価償却は関係ありません、あくまでも物件の実力を見る数値となります。借入をするかしないかは、本人の勝手であり、それで物件の実力が変わるわけではないということです。

 

 

・元利金返済額
投資額1億円を融資期間30年、金利2%で全額借入金で資金調達すると、年間の元利金返済額は、444万円となります。

 

それでは、DSCRの計算を見ていきましょう。

 

・DSCRの計算
 ・投資額1億円 利回り10%、融資期間30年、金利2%

 

 ・NOI(経費率20%):1億円×利回り10%×(1−0.2)=800万円

 

 ・元利金返済額:444万円

 

 ・DSCR=800万円÷444万円=1.8

 

 

指標の見方
上記の例でいきますと、1.8となります。通常、1.6までの数値ならOKです。この数字は、満室家賃に対する返済比率が50%水準で、DCSRは、概ね1.6程度になります。

 

つまり、返済比率が50%未満と、DSCRが1.6はほぼ同じ水準になります。なので、DSCRのような難しい指標を覚えなくても、返済比率だけみていれば、大丈夫です。

 

まとめ
・DSCRの指標は、1.6程度は目指しましょう。他の業者では、1.3までと言いますが、かなり危ない水準です
・業者が難しい用語を出してくることが多くなってきたので、ざっくり把握しておきましょう。
 

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