不動産投資の売買契約書のポイントについて

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売買契約書のポイント

不動産売買契約を締結する際には、予めその「契約書」自体をくまなくチェックする必要があります。これは、売買契約に先立って交付される「重要事項説明書」についても同様のことが言えます。そこで今回は、これら2つの書面の中で必ず確認すべき項目とそのポイントについて解説したいと思います。

 

不動産の表示
対象となる不動産の住所、名称、構造、延床面積などが記載されています。これらの項目は重要事項説明書や売買契約書の最初の方に記載されている最も基本的な事項となります。

 

これらの項目は当たり前すぎて、しっかりと確認をせずにスルーしてしまう人もいますが、こういった基本事項が意外と違っていたり、場合によっては不動産会社が物件を取り違えているようなケースも稀にありますので、油断をせずしっかりとチェックしましょう。

 

あまり、ないのですが、販売図面上は、建ぺい率、容積率がOKに見えても実際の不動産の表示では、土地の面積が少なくなっていて、違反物件になっていることもあるからです。現金買いの時には、金融機関がチェックしてくれませんので、登記簿と不動産の表示を相互チェックされることをお勧めします。

 

売買代金および支払い方法

 

@売買代金
契約書の中で最も重要な項目となります。特に売買代金を募集価格から価格交渉をして了解をもらっているような場合は、ちゃんと値下げ後の金額になっているのかどうかを、良く確認するようにしましょう。

 

A支払い方法
中間金、残代金の支払い時期および引渡し日も必ず確認しましょう。通常は、残代金を支払う日に決済と引渡しを行います。中古の物件の場合は、契約時の手付金と決済時に一括となりますが、万が一中間金が設定されていて、契約してしまうと、その中間金を払う必要がでてきます。

 

公簿売買と実測売買
土地の売買契約を結ぶ際に、登記簿に記載されている面積をベースに坪単価をかけて売買代金を決める公簿売買と、実際に土地を土地家屋調査士に依頼をして計測をしてもらい、その数値をベースに売買代金を決める実測売買の2つがあります。

 

公簿売買の場合は、万が一後日計測して公簿の面積よりも狭かったとしても売買代金の差額分の返金を求めることはできません。ただ、実測するにも計測費用がかかるため、どちらの方法で売買価格を決めるのかは必ず確認しておきましょう。

 

明らかに、杭が入っており、建築当初からの登記簿があれば、ほぼ間違いがないですが、杭が入っていなかったり、隣地が売買されていたり、境界があいまいな場合は、実測測量での引渡しを求めた方が安全です。

 

実際は、決済が終わった後に、実測測量の結果がでてくることが多くなりますので、実測測量と公募との間の差額分の取り扱いも明確にしておくことが重要です。

 

また、上級者になってくれば、わざと境界があいまいだったり、トラブルになっている物件を安く購入し、隣地所有者と交渉することで、正常化させることもできるようになります。

 

越境について
古い建物を購入する際には、建物の屋根などの一部が隣の敷地に越境していたり、反対に越境されているようなケースがあります。万が一越境がある場合は、隣地の所有者とどのような取り決めになっているのかを確認したり、境界確定測量などを行った上で協議することをお勧めします。

 

越境は、特に隣地所有者とトラブルになっていなければ、あまり恐れる必要はなく、解体・再建築時には、越境を解消したり、越境していることをそのままにしておきましょうということを覚え書きとしてお互いに了承していることが大事になります。

 

越境トラブルが継続している物件については、初心者は手を出さない方が無難です。解決までに年月を要するからです。

 

レントロールが正しいか
売買契約書にはその物件の利回りや家賃は記載しませんが、売買契約を締結する際には、必ず賃貸借契約書を事前に提示してもらい、レントロールが事前に聞いていたものと間違いないか確認しましょう。

 

意外と多いのが、最初の販売図面のレントロールと実際のレントロールが違うことです。悪気はなくても昔の賃料だったりが紛れ込んでいる場合があるのです。契約時にレントロールを確認せずに、了承してしまうと、後でレントロールより賃料が低かったとしてもなかなか裁判をしても十分な金額補償が受けられる可能性は低いものです。

 

賃貸物件の場合は、買付を入れてから契約までの間に賃借人が退去していたり、退去予告が出ているようなケースもよくありますのでよく注意して契約に臨みましょう。

 

建物の取得価格
マンションやアパートを取得する際には、土地と建物がそれぞれいくらの内訳となっているかよく確認しましょう。消費税については、課税事業者の場合「建物部分」に対して課税されます。

 

また、取得後の減価償却についても建物部分が対象となりますので、建物の価格割合が多い方が減価償却上は有利になります。そして、売買契約書に内訳の記載がない場合は、固定資産税評価証明書を見せてもらい建物部分の評価額を確認しましょう。

 

 

契約解除に関する事項
万が一の時のために、契約が解除となった時にどうなるのかを確認しておきましょう。ここでポイントとなるのは以下の3点です。

 

@手付金
手付金については、その金額と手付による解除ができる期限である「手付解除期日」がいつなのかを必ず確認しておきましょう。

 

Aローン特約
購入する際に融資を利用する場合は、万が一融資の審査がNGとなった場合に白紙撤回ができる「ローン特約条項」が記載されているかどうかその期日も含めて確認しましょう。

 

B違約金
万が一何らかの事情で契約が履行されなかった場合に、いくらの違約金とするのかが記載されています。違約金の金額を明確にすることで、万が一の際に損害額を具体的に立証する必要がなくなりますが、反対にそれ以上の金額も請求できないため、違約金など損害賠償に関する項目はよく確認しておきましょう。

 

売主が宅建業者の場合で買主が個人であれば、違約金の金額は売買代金の20%が上限となります。

 

固定資産税や都市計画税の精算について
固都税は東京と関西でその方式が異なるため注意が必要です。

 

 東京方式:その年の1月1日を日割り計算の起算日とする
 関西方式:その年の4月1日を日割り計算の起算日とする

 

よって、関西の物件を1〜3月の間に購入する際には、次年度の固都税についても同時に精算するほうが良いでしょう。また、なぜこのような違いがあるのかは、慣習としかいいようがないですが、自分が買主であれば、買主有利な方式を選択することもひとつの作戦です。

 

例えば、10月1日に売買する場合は、東京方式の方が、売主が負担する期間が長くなります。

 

例)10月1日売買
売主負担
 東京方式:1月1日〜9月30日(9か月分)
 関西方式:4月1日〜9月30日(6か月分)

 

買主負担
 東京方式:10月1日〜12月31日(3か月分)
 関西方式:10月1日〜3月31日(6か月分)

 

この場合は、売主側の立場では、関西方式が有利、買主側の立場では、東京方式有利となります。

 

 

瑕疵担保責任
瑕疵担保責任の有無とその箇所、およびその期間について確認しましょう。個人の売主から購入する場合は、現況有姿で瑕疵担保免責となるのが一般的です。そのため、不動産自体に異常がないか「物件状況報告書」や「付帯設備表」をよく確認するとともに、契約前に必ず現地を確認するようにしましょう。

 

地位の承継
売主の地位のうち買主が承継しなければならない地位について事前に確認しましょう。具体的には、管理会社との管理委託契約、賃貸借契約、プロパンガス契約、インターネット設備などは引き継ぐことになります。

 

そして、既存の管理会社から変更したり自主管理としたい場合は、所有権移転までに売主の責任において管理委託契約を解約するよう記載してもらいましょう。

 

 

売買契約書は、とても重要な書類です。この書類にサインすることは、すべてを了承していることになります。そのため、契約書類はできれば弁護士のリーガルチェックがおすすめです。不動産売買契約書は、ものによっては数億円規模の取引となることもあるため、「気がつかなかった」では済まされません。

 

もしも自分に確認する自信がなければ、事前に不動産会社から契約書や重要事項説明書の写しをメールなどでもらっておき、弁護士のリーガルチェックを受けることをおすすめします。くれぐれも、契約締結後に間違いが発覚することのないように、慎重に確認するようにしましょう。

 

まとめ
・売買契約書のチェックに自信がなければ、弁護士のリーガルチェックを受けること

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