不動産投資の銀行の融資期間は、建物の耐用年数次第

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銀行の融資期間は、建物耐用年数次第

不動産投資の醍醐味といえば、融資を活用した「レバレッジ効果」です。金融機関から融資を受けて不動産投資をすることで、より効率的に利益を上げる事が可能になります。

 

そのため、不動産投資において「融資」は非常に重要なポイントとなりますが、特に注意しなければならないのが「融資期間」です。

 

不動産投資において「融資期間」がなぜ重要か
不動産投資において最も注意が必要なのは「キャッシュフロー」です。銀行融資を受けて不動産投資をする場合は、毎月常に「返済」という支出が発生します。家賃などの収入からこの返済という支出を差し引いてもお金が残るような資金計画を立てなければ、その不動産投資は必ず失敗してしまいます。

 

そして、毎月の返済金額に一番影響する要素が「融資期間」なのです。仮に1億円を無利息で借りるとしましょう。

 

1億円を10年で返済するには、毎年1,000万円、毎月約83万円返済しなければなりませんが、融資期間が30年であれば、毎年約333万円、毎月約27万円の返済になり、格段にキャッシュフローは楽になるのです。

 

融資期間はどうやって決まるのか
では銀行は融資期間をどのようにして決めるのでしょうか。結論から言うと、建物の「法定耐用年数」です。法定耐用年数とは、物理的な寿命から導き出した「税法上の法定耐用年数」のことで、建物の構造ごとに次のようになっています。

 

1:木造…22年
2:軽量鉄骨…27年
3:重量鉄骨…34年
4:鉄筋コンクリート…47年

 

銀行側は融資の際に、その不動産に抵当権を設定します。そして万が一融資したお金が貸し倒れとなる恐れがある場合は、抵当権を実行してその不動産を売却し、残りの残債務の返済に充てる事になるため、対象となる物件の法定耐用年数は融資期間を決める上で非常に重要な要素となります。

 

ただし、法定耐用年数=融資期間ではなくそれよりも短い期間となるのが一般的です。

 

例えば新築の鉄筋コンクリートマンションだとしても、最長で30年というのが融資期間の原則となります。不動産投資ローンは住宅ローンとは違い、簡単には融資期間を長くしてもらえず、また、信用が乏しい初心者投資家の場合は、融資期間を短縮されるケースもあります。

 

中古物件の融資期間には注意が必要!
先ほどの法定耐用年数は、あくまで建物が新築である事が前提です。もしも中古物件に投資する際には、法定耐用年数は次のように計算します。

 

【法定耐用年数?経過年数】
例えば築20年の鉄筋コンクリートマンションであれば、47年?20年=27年が残存する法定耐用年数となり、融資期間はその分短縮される事となります。

 

注意してほしいのは、ここで言う法定耐用年数は、減価償却費を計算する際の経過年数とは別物という事です。

 

中古マンションの減価償却計算をする際の耐用年数は、次のような計算をします。

 

1:法定耐用年数を完全に経過した物件の場合
【法定耐用年数×20%=残存耐用年数】

 

2:法定耐用年数の一部を経過した物件の場合
【(法定耐用年数?経過年数)+(経過年数×20%)=残存耐用年数】

 

先ほどの例と同じ築20年の鉄筋コンクリートマンションで計算しても、
(47年?20年)+(20年×20%)=31年

 

と、こちらの方が残存耐用年数が長くなります。ただこれはあくまで減価償却計算を行なう際の残存耐用年数であって、銀行側が融資期間の目安とする残存耐用年数ではないため間違えないようにしましょう。

 

実際は残存耐用年数よりも融資期間は短くなる
このように融資期間は対象となる物件の「残存耐用年数」が一つの目安となりますが、実際はその年数よりも融資期間は短くなる事が多くなります。

 

銀行側はその物件の担保価値を慎重に検討して融資期間を割り出すため、例えば土地値が高い都心部の物件と土地値が安い地方の物件では、残耐用年数が同じだとしても、融資期間に違いが出る可能性があります。

 

要するに銀行側は、万が一の際にその物件を売却して残債務を回収できるのかどうか、という点を重要視しているのです。

 

銀行が用いる経済的残存耐用年数という考え方
経済的残存耐用年数とは、先ほどの税法上の法定耐用年数とは違い、物理的劣化状況や経済状況など総合的に勘案して、実際のところあと何年の稼働が可能なのかという観点から導き出す耐用年数のことをいいます。

 

この考え方は、融資審査が厳しい都市銀行や一部の地方銀行などで用いられており、例えば鉄筋コンクリートであれば47年ではなく40年を法定耐用年数として、そこから経過年数を差し引く計算をします。

 

例えば築年数15年の鉄筋コンクリートの場合、次のようになります。

 

 通常:47年?15年=32年

 

 経済耐用年数:40年?15年=25年

 

このように同じ条件でも、経済的残存耐用年数の考え方をベースにされると、融資期間が短縮されてしまうのです。

 

まとめ
・不動産投資における融資期間は、法定耐用年数よりも短縮される傾向
・融資を利用する際には事前に必ず返済シミュレーションを実施し、キャッシュフローを確認すること

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