物件概要書の見方
物件の所在地が融資対象である場合、販売図面のどこを読んでいけばいいのかを説明します。
@投資として問題ない物件を確認する
物件資料の備考欄などに「再建築不可」「建ぺい率オーバー」「容積率オーバー」などと書かれている物件には手を出さないこと。「再建築不可」とは、建物を取り壊した場合、次の建物を建てられないことを示しており、建物が古くなったときにどうにもならなくなってしまいます。
「建ぺい率オーバー」 「容積率オーバー」とは法律で定められた容積率を超えてしまっている建物であることを示すもの。金融機関からの融資がしくなります。
「再建築不可」「建ぺい率オーバー」「容積率オーバー」は、融資が難しいことから、利回りが高く設定されているので魅力的に映りますが、上級者になるまでは、対象からは外しておいた方がいいでしょう。但し、大阪では、 「建ぺい率オーバー」「容積率オーバー」に融資をする信用組合なども多く存在するため、大阪は例外的に対象としても構いませんが、大阪以外のエリアに投資を予定されている方は、あまりお勧めしていません。
A積算価格を確認する
土地の権利・面積から読み取りします。
- 土地の権利:所有権か借地権かは確認します。基本は所有権のみが対象です。借地権というのは、建物の所有者と土地の所有者が異なっていて、建物の所有者が土地の所有者から土地を借りていることを差します。一般に借地権の物件は利回りは高くなりますが、銀行融資が難しく、地主との法律的な関係が出てくるので初心者は避けた方が無難です
- 土地の評価:路線価*土地u数で算出 商業系用途の場合1.1〜1.2倍
次に建物構造、建物面積、築年数から読み取りします。
- 建物構造・築年数:木造、鉄骨造、RC造の確認をします。耐用年数を木造:22年、鉄骨造:34年、RC造:47年は必ず頭に入れて残存耐用年数を計算します。
- 建物面積:面積1部屋当たりの面積も重要なチェックポイントであり、建物面積から部屋数で割り戻し、1部屋の面積を算出しておきましょう。1Kで15uを切る部屋がある場合は、十分に調査してからでないと買えません。供給がこれだけ増えて、空室率が上がっている中、だれもが狭いと認識する15u以下は、東京都心くらいしかニーズはないでしょう。
- 建物の評価:再調達価格(RC20万/u)*建物面積*(法定耐用年数-経過年数)/法定耐用年数
積算評価の確認:【土地の評価+建物の評価>物件の売買価格】になっているかを確認する。
銀行は積算評価が好きであり、積算評価が十分にあると融資が出やすくなる。
都心では、これを満たすものはほとんど出ないので、積算評価が売買価格の8割程度でもいいでしょう。路線価や固定資産税評価は、都心部や駅に近いところだけを高くして駅遠や地方の低くしすぎると税金がとりにくくなることから、差がなだらかになるようになっている。つまり都心部では、低く路線価が設定されすぎていることと地方の土地は高く評価されていることがままある。そこは銀行もわかっているので都心部に関しては、路線価*土地u数ではなく、実勢価格*土地u数で対応している銀行もある。
B売買価格から返済比率を確認する
土地と建物を合わせた売買価格が表示されています。この売買価格はあくまで売主が希望する値段です。構造、築年数、欲しい利回り水準からして買える金額を計算します。売主が急いでいる場合などは、価格が予算と合わなくても妥協するケースがあるが、目標の売買価格が出せないと交渉もできません。
構造を確認して、残存耐用年数を算出する。RCで築20年であれば、残存耐用年数47年−経過年数20年で融資年数27年となる。
購入したい価格は、残存耐用年数と金利2.5%(元利均等)で借入した場合、返済比率が50%以下になっているか確認しよう。初めのうちは、なるべく返済比率が低い方がいいでしょう。地方の場合、返済比率が40%内が妥当といえます。
C現況稼働率の確認
レントロールを見て、現況稼働率が満室時の70%以下になっていないか確認します。通常銀行は、70%以下の稼働率の物件に対して融資が厳しくなるためです。
そのため、現況稼働率は90%以上が望ましく、悪くても80%以上の物件のラインが欲しいところです。
もし70%を切るようであれば、売主側に家賃保証をつけてもらうか、サブリースを入れてもらうなどの手を取らないと、融資が厳しくなります。
まとめ
@で違法でないかどうかを確認し、A積算価格、B返済比率(収益還元)、C現行稼働率を確認する作業を行います。ここまで確認すると、詳細にレントロールを確認し、現地確認に行く段取りをします。
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