必要な資料を収集する
物件を購入するときに、販売図面やレントロール以外で銀行から求められる代表的な資料は下記です。
概略は理解しておきましょう
登記簿謄本
最も重要な書類です。現在の土地建物の権利関係を示す書類で銀行からすると融資した場合、担保が設定できるかを確認しています。
売却する時点で不動産屋が調べていますが、売却する人が現所有者なのか等の重要な資料です。
@権利関係
表題部、甲区、乙区と分かれていて。表題部はその土地、建物の概要を示しています。甲区は物件の所有者について記載されており、乙区はその不動産の担保状況などが記載されています。乙区の担保状況で見るポイントとしては、当初いくらの借入があるのか見てみましょう。こちらが値下げ要求しても受け入れらないときは、多額の借入があり、値下げすると残債が消えない可能性があるからです。
A構造・用途
謄本に載っている構造・用途もきちんと確認しましょう。よくあるのは、容積率の関係で建築確認時には、駐車場で申請をしていて、実際には、その駐車場を事務所に変更している場合があります。販売図面では事務所が記載されていますが、謄本上には事務所が載っていないケースがあり、用途違反となります。基本的には融資が難しくなります。
また、SRCである鉄骨鉄筋コンクリート造ですが、謄本上に「鉄骨鉄筋コンクリート造」と記載されていれば、問題ありませんが、鉄骨と鉄筋の間に「・」が入っている「鉄骨・鉄筋コンクリート造」となっている場合があります。これは、鉄骨造と鉄筋コンクリート造が混在していて、銀行融資上は鉄骨造をベースとした融資の取り組みとなります。例えば建物と機械式駐車場が一体となっている場合で、機械式駐車場部分が鉄骨造となっているケースなどであります。
B信託受益について
信託受益権が設定されていると権利関係が複雑なケースもあり、専門家の意見を聞いて進めていきましょう。
公図
地番と対応する地図です。物件がどのような位置関係になっているかを銀行も確認しています。
物件の面している道路が公道ではなく私道の場合は注意が必要です。私道であれば、ダメということではないですが、その所有割合を確認しないと危険です。
車の出し入れする私道の部分に持ち分があるか不動産会社へ確認しましょう。自分の敷地の前だけが私道の持ち分になっていると、隣の所有者の前の道路を車が通る必要がある場合、隣の所有者の前にも私道の持ち分がないと隣の所有者が車を置いてどかさないと通り抜けができなくなります。よくある近隣トラブルです。
建物図面・地積測量図
地積測量図、担保にとる地籍が役所に届けられているか、謄本と差がないことを確認します。
建物図面については部屋のu数などを確認し、修繕費の費用をみています。修繕費予想をひいて担保評価を出している銀行もあります。登記簿の面積と誤差がないか確認しています。
固定資産税評価証明書
行は、どのくらいの物件価値があるのかと毎年のかかる固定資産税を経費としてどれくらいかかるかを確認しています。
不動産を購入すると土地と建物には毎年固定資産税がかかります。不動産会社が入手していないという場合には、納付書のコピーでいいのでもらっておきましょう。建物の固定資産税は、構造によって大きく異なり、RC造は最も高くなるのでよく確認しておきましょう
建築確認・検査済み証
不動産を建築する際には、建築する前に建築確認、建築後に検査済み証が発行されます。銀行から要求されるのは、建築後の検査済み証を要求されることが大半です。
建築確認は、建物を建築する際の行政手続の一つで、建築計画作成時点に行われるものです。
建築計画が法令に適合しているか建築確認が行われ、適合している場合に建築確認番号が付与されます。建築確認番号がないと着工できません。
検査済み証は、建物の完成後に行われる完了検査の結果、適合した建物に対して付与される番号です。
これは、建築確認通りに、建築されたことを役所がお墨付きを与える文書となります。
収益物件の中には、建築確認通りに、建築されていないケースが多々あります。建築確認では、駐車場と申請していたのに、建築後は事務所や店舗になっていたということがよくあります。そのケースでは、建築確認はあるけれど、検査済み証はないということになります。
そのため、銀行は、建築確認より検査済み証を重視しています。
但し、検査済み証がないからといって、融資が受けられないわけではありません。検査済み証は紛失しているケースがあります。紛失しているケースだと建築確認と謄本の差がない場合は、特に問題となりません。
よくあるのが、建築確認と謄本上で差が起きているケースですが、謄本上の建物面積等が建築基準法で違反していないことがわかれば、融資が可能なケースもあります。
検査済み証がない場合、融資ができるかは、融資申込者の信用や実績と銀行の審査基準となります。
私のケースでいければ、検査済み証がなくて融資は、都銀、信金等で問題なくできています。但し、謄本上で問題ないことは前提となっています。
まとめ
上記書類に関しては、不動産仲介会社から取り寄せて銀行に提出することになります。不動産経営の視点でいうと、固定資産税評価は経営上大きな経費に該当するので、収支に与える影響を考慮して投資判断することになります。
そのほかの書類は、銀行融資を受けるのであれば、銀行側が精査してくれていることになります。信販系など特別なところでなければ、銀行が融資可能と判断した物件は、お墨付きを得たに等しいでしょう。
最初は、慣れない書類ですが、数回確認していると、見るべきポイントは自然と理解できるようになります。
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