不動産投資の新築アパートの投資法について

大家の味方:不動産投資・空室対策・リフォーム・火災保険・法人保険・バイク駐車場・トランクルーム・節税

新築アパート投資法

地主の相続対策、サラリーマンの1棟目の投資として人気を集めている新築アパートの投資とはどのような投資法か解説します。

 

新築アパート投資法とは
土地の上に、新しくアパートを建設します。「新築」という付加価値が付いた物件になり、入居者が獲得しやすい投資法になります。新築の場合は、差別化する設備を導入することが容易であり、競争力の強い物件を作ることができます。

 

また、一般的に「新築」に対する銀行の融資は、中古と違い非常に積極的であり、木造であるアパートは耐用年数が22年のところ、30年や35年の融資期間を設定する銀行もあり、かつ金利も低く抑えられるので、キャッシュフローが出やすい投資法となります。

 

つまり、1棟マンション投資と同じようにキャッシュフローが出やすいと考えていいでしょう。そのため「融資が出やすい」かつ「キャッシュフロー」がでるため、投資初心者でも気軽に参入している状況になっています。

 

しかしメリットだけではなく、建設会社の手抜きや木造新築という構造上のデメリットや長期融資のデメリットについても理解したうえで取り組むことをお勧めします。

 

 

新築アパートのメリット
入居者獲得が楽
日本人は、新築が大好きですから、入居者ニーズがあるエリアであれば、新築の時点では、入居者を獲得するのは、比較的楽にできます。

 

収益性を高める工夫ができる
新築時には、差別化する間取りや設備が簡単に導入できます。中古で後からメゾネットにすることはできませんが、新築であれば可能です。設備面についてもオートロックを後から導入するのは大変ですが、建築時なら導入が簡単です。

 

差別化には投資がかかりますが、他の物件と圧倒的に差をつけることで家賃を大幅にアップすることなども可能になります。

 

融資付けが楽
日本の銀行は、中古に対する評価がとても厳しいのです。中古アパートの建物の状態というのは、銀行は判断できず、購入時に発生する改修費用を保守的に見積もります。

 

買ったとたんに、屋上防水が必要になったり、部屋の給水菅を補修したりと、思いがけない出費が結構かかります。悪質な入居者がいて、滞納を続けていたり、居座られていたりと、不確実性な要素が多く、リスクを織り込むと金融機関から評価を受けづらいのが現状です。

 

しかし、新築では、建物の状態はまったく問題ないという想定を銀行はします。そして、入居者もいないわけですから、滞納やトラブルを織り込む必要がなく、想定の家賃表をベースに算出することになり、銀行評価が出やすくなります。

 

本来は、中古は、運営状況がわかるのでもっと正しく評価してほしいという願いはあるものの、銀行評価は、一定のルールで決められているので、ここに文句を言っても始まりません。

 

したがって、新築の融資付けには、銀行は積極的に取り組みしてくれます。

 

長期融資が可能
中古物件だと、法定耐用年数(木造22年)から経過した年数を引いた残りが融資年数となります。しかし、新築は、経過していないので、法定耐用年数をベースに借入することができます。

 

また、新築のときいは、22年ではなく、融資期間を30年、35年といった長期の融資期間を設定してくれる銀行もあり、返済額が抑えられたプランを作ることができます。このおかげて、長期の融資期間をベースに、キャッシュフローの出る物件が作りあげることができるのです。

 

メンテナンスコストがかからない
新築は、設備面の故障がほぼ起きません。約10年程度は、エアコンやガス機器、建具の壊れ、排水管のトラブルなどと無縁でいられるため、楽に賃貸経営できるばかりか、経費がかからないことがメリットになります。利回りでいえば、1%分以上の+は十分にあるといえます。「木造築10年 10%」と「木造 新築 9%」であれば、新築の方が収支上有利になります。

 

税金面の優遇がある
 建物の固定資産税が優遇されます。新築された住宅が、床面積の要件を満たす場合には、3年間、3階建以上の耐火・準耐火建築物は5年間、固定資産税額が1戸あたり120u相当分までが2分の1減額されます。

 

戸建て貸家住宅 50u以上 280u以下
アパート・マンション 40u以上 280u以下

 

 建物の固定資産税は、重い負担のため、3年間もしくは5年間について半額となるのは、賃貸経営のキャッシュフローに良い効果があります。

 

相続対策
土地だけで保有していると、固定資産税と土地評価が高い状態となります。土地の上に貸家が建築されると、土地の固定資産税は、ほとんどのケースで1/6になります。固定資産税が120万程度かかっていたとすると100万ほど安くなる計算です。

 

また、相続が発生した場合の土地評価については、土地の上に建物を建築し、他の人に貸している場合は、土地の評価が下がる仕組みとなっているので、土地だけで持っている場合よりも相続税が下がる仕組みとなっています。

 

そのため、相続税が強化された昨今は、地主が相続税対策としてアパートを建築する動きが活発になっています。

 

 

新築アパートのデメリット
新築アパートには弱点がないように見えますが、弱点もあります。

 

木造は音に弱い
木造は、RCに比べ、音の問題が発生します。アパートからマンションタイプに移る人の多くは木造の音の問題に悩まされているからです。木造は、上下階を厚いコンクリートで覆っておらず、いくら遮音シートなどを敷いても音が上から下へダイレクトに漏れてきます。

 

新築時は、入居付けが楽ですが、築年数が経過すると、木造アパートは敬遠される傾向があります。

 

家賃が下落しやすい
マンションタイプよりアパートタイプの方が、家賃の下落は早くなっています。築10年経過した木造アパートは、新築時から10%以上は下がってくるでしょう。この収支悪化シミュレーションを織り込まずに新築アパートを建築すると、後で収支悪化で困ることになります。

 

融資期間が長いとデットクロスしやすい
木造の法定耐用年数は、22年です。しかし、新築アパートは、22年を超える融資期間を設定してくれる銀行も多く、30年や35年で融資を受けている方がたくさんいます。毎年の減価償却のスピードと返済スピードにギャップが生まれます。

 

デットクロスとはやや難しい概念ですが、簡単にいえば、キャッシュフローがでなくなるタイミングがやってくるということです。例えば、法定耐用年数で減価償却していると、22年後には減価償却がなくなります。この時には、減価償却という経費が少なくなり、利益がとてもでるようになります。つまり、税金が上がるということです。

 

しかし、30年ローンであれば、あと8年は返済が残っている計算になります。家賃収入から返済をして、税金を払うと、手元に現金が残らないという事態が発生します。このような状況をデットクロスと呼びますが、利益はでているのに賃貸経営でキャッシュフローを得ることができなくなってしまいます。

 

 

売却時に苦労する
新築時には、長期で融資をしてくれる銀行も、中古となると長期で融資をしてくれなくなります。法定耐用年数22年の木造で10年経過すると、「22年-10年=12年」が融資期間の基本となります。

 

中には、12年を超える融資をしてくれる銀行もありますが、基本が12年となるので、購入する側からすると、買いづらい物件になってきます。30年融資と12年融資では返済額に2倍以上の差になるからです。

 

このようなことから、新築アパートが古くなってくると、売却がしづらい物件へ変わっていくことを留意して置く必要があります。

 

建設会社の破たん
工事期間中に建設会社が破たんしたりすると、大変なことになります。建設中の建物は、建設会社のものですので、きちんと引渡しができるかという問題になります。

 

 

建物の瑕疵がある
アパート建設は、坪単価が安くないと収支があわないので、無理にコスト削減を依頼することがあります。そうすると、建物の手抜きにつながります。新築なのに、トラブルの多い物件というのは残念ながら、よくあります。

 

私が相談された案件ですが、某有名な会社が建てた物件で、廊下の天井に私(180cm)の頭がぶつかるのです。屈まないと通れない廊下でも、直さないと言い張り、裁判へと進行中です。新築アパート建設ではこんなこともあります。

 

想定した建物が建てられない
土地を先に購入するケースによくありがちなのが、最初聞いていた話と違い、狭い建物しか建たないケースです。業者が販売するときにモデルプランを提示しますが、その通りに建築できる保証はありません。容積率をすべて消化できる建物は少なく、斜線規制、日影規制等で小さくなってしまうものです。

 

あとは、ワンルーム規制や、窓先空地の確保など、詳しくは説明しませんが、建築確認時の制約はたくさんあるのです。これを理解していないと、業者の言う数字だけを信じていると、痛い目に遭います。販売図面には、「建築確認申請を通っていないので、プランを保証するものではない」などという言葉です。

 

私でさえ、土地からだと正確に建物がどこまで建つかわかないのです。したがって、建築士にお願いするほかないのです。

 

新築アパート投資は実は中級者向け
新築アパート投資は、メリットが非常に多く、魅力的な投資のため、初心者でもどんどん購入しています。問題が発生しなければ、良い投資になるのですが、建物に問題があったりすると、急に難しい案件となります。解決するまでに年単位でかかることもあり、それまでに手付や借入(つなぎ融資)を起こしていると、サラリーマンからの補てんだけで間に合わず、破たんすることもあります。

 

そのため、新築アパートは、不動産経営に知識があり、余力を持って進められる方にしかお勧めしていません。また、デメリットで記載した、デットクロスなどの問題点は、ある程度先にならないとわからないため、賃貸経営5年程度は成功しているように勘違いしてしまうのです。

 

デットクロスなどの回避法を把握していて、新築アパートの出口や借り換え、さらなる買い増しなど戦略をもって進める必要がある投資といえます。

 

 

まとめ
・新築アパート投資は、魅力が満載:融資付けがしやすく、かつキャッシュフローがでる

 

・建設の知識は業者の見極めができないと、かなりの大やけどを負う可能性もある

 

・新築アパート投資は、中級者向け

 

無料メルマガ登録:大家の味方

メルマガ登録ページへ

新築アパート投資法 関連ページ

不動産投資のメリット
不動産投資のデメリット
投資戦略を決める!
キャッシュフロー1棟投資:リタイアするにはキャッシュフロー
キャッシュフロー1棟投資:目標キャッシュフロー
キャッシュフロー1棟投資:目標達成までのシナリオ策定
キャッシュフロー1棟投資:借金への恐怖感をなくす
キャッシュフロー1棟投資:返済比率は50%以下にする
キャッシュフロー1棟投資:銀行評価の出る物件を狙う
キャッシュフロー1棟投資:簡便的な物件評価ステップ
キャッシュフロー1棟投資:物件評価の出ない物件
キャッシュフロー1棟投資:狙う物件を絞る
キャッシュフロー1棟投資:融資可能エリアで探す
不動産業者の選び方
物件情報をもらうには買えることをアピールせよ
物件概要書の見方
レントロールの見方
必要な資料を収集する
現地調査
賃貸仲介会社への賃貸ヒアリング
物件に完璧ない:リスクを取れるかどうか
気を付ける事:私道負担、上下水管が他人敷地に敷設
気を付ける事:機械式駐車場、電気温水器
区分投資
区分投資:一棟投資との違い@
区分投資:一棟投資との違いA
区分投資は利用価値しかない
区分投資の売却は意外に簡単
区分投資:狙う物件(立地・価格帯)
区分投資:狙う物件(間取り)
区分投資:狙う物件(管理費・修繕積立金)
区分投資:狙う物件(キャッシュフロー)
区分投資:新築は避ける
築古土地値投資法
築古土地値投資法:狙う物件(土地・価格帯)
築古土地値投資法:狙う物件(間取り・設備)
築古土地値投資法:売却で意外に苦戦する