自宅・賃貸不動産を平等に相続するのは難しい

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基礎:不動産を平等に相続するのは難しい

あなたが今後亡くなり、相続がおきた場合、あなたが一生懸命育ててきたマンションやアパートなどの不動産はどのように価値評価がなされるか、考えたことはありますか?

 

相続発生前、つまりあなたは生存中に自分が所有する不動産について、自分なりの判断指針をもって評価していることでしょう。できるだけ均等に、と考えて遺産分けの準備をしても、時がたって相続が発生した時には情勢が変わっていることもあり得ます。

 

今回は現預金と違った難しさがある不動産について、遺産分配の際の価値判断の仕方を見ていきましょう。

 

 

遺産分配では自分で評価して良い
あなたが遺言書を書いて3つの不動産を三人の子に均等に分配したいとしましょう。3つの不動産はそれぞれどれくらいの価値があるか、どうやって評価しますか?

 

固定資産税評価額?それもいいでしょう。近所の不動産屋の査定額? 実はいずれも有効です。

 

収益不動産を多くもっている大家の場合、収益不動産を均等に分けることは大変難しいことです。というより収益不動産が3つあり、三人の子に分け与えるとした場合、3つの不動産の大きさ、賃借人の状況が異なるので、平等に分けるという発想をもつと混乱することになります。

 

したがって、「この物件の賃借人に滞納者がいるから少し価値を下げなきゃ」「市街地の物件は将来ビジネス用に重宝される可能性が高いから少しプラス評価」などの微調整も入るでしょう。

 

そんなことをしていると、分配ができなくなります。均等という発想をひとまず置いておき、あなたが自由に決めて良いのです。3つの不動産をそれぞれ自分の意志で3人の子に分ければいいだけです。

 

ただそうすると、価値の低い物件をもらった子供は不満を持ちます。その時はどうすればいいでしょうか

 

現金でバランスを保つ
価値の低い物件を相続させる子には現預金で調整します。現金で調整することでバランスを保つという発想が重要です。

 

そして、それを受けて、あなたの死後遺言書を開封した相続人である3人の子が納得すればそれでよし。納得しなければ遺産分割協議を行って改めて分割作業に入ります。あなたが遺言書を書いた時とは情勢が変わり、3つの不動産の価値判断が明らかに不合理になっている場合もあるでしょう。

 

例えば3つのうち一つのマンションが地震で被害を受けてしまっているなどです。その物件を割り当てられた相続人は「俺の物件だけ価値が低い」となってしまいます。これでは公平ではありませんから、他の相続人の了承を得て改めて遺産全体の分割協議をします。その時の価値判断も当人たちの自由です。

 

「地震でダメージを受けて下がった価値分、現預金を多く分配してやろう」などと自分たちで納得いく形で決着を図ることができるのです。

 

現金が少ない場合は大変
仮に、不動産が一つしかなく、現預金もほとんどないという場合は少し厄介です。

 

ひとつは、換価分割といって、売ってお金に変えてそれを分配するという方法がありますが、多くの事例で希望よりも安い売却金額になってしいます。

 

2つ目は、代償分割といって、例えば長男が物件を独占して承継し、その代りに二男、三男には長男が自分の現預金などで各人の取り分を支払うという方法があります。

 

3つ目は、不動産の持ち分を共有する形で共同所有する方法となります。

 

目立った資産が不動産しかなく、相続人分均等に用意できないという場合は、被相続人となる者は事前に対策が必要です。代償分割をする者は自分にそのための資金が無ければ他の相続人に分配できませんから、そうなると換価分割か、共有持ち分方式になります。

 

持分を1/3のように分けて相続することはよくあることですが、これは後のトラブルになります。兄弟間で仲が良い場合でも、その兄弟の誰かがなくなるとその持ち分がさらに子供に承継されていくことになります。そうすると、今までは、兄弟だけで話し合えばよかったのが、その子供たちまで登場することになり、話し合いがつかない事態になります。

 

生前に現預金を準備する、事前に相続人の了承を得て、資金に余裕のある者に不動産の引き受け手を決定しておくなどの工夫が確実に必要です。

 

まとめ
・不動産の遺産分割は、本人(被相続人)が決めたあげた方がよい
・価値の低い物件には、現金でバランスを
・共有持ち分は禍根を残す最悪な相続になることが多く気を付けた方がいい

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