賃貸経営にとって相続財産の棚卸は不可欠である

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相続財産の棚卸が重要

相続が発生した場合、相続人間で遺産分けをするためには故人の財産がどこにどれだけあるのかを把握しなければなりません。相続税の支払いのためにもはやり個人の財産を把握しなければなりませんね。

 

相続財産の棚卸
例えば預金としてどこの銀行にどれだけあるのか、不動産資産としてどこにどんな物件があるのか、といった財産調査を行う必要が出てきます。相続財産を考える時によく聞かれるのが「借金はどういう扱いになりますか?」という相談もあります。

 

相続財産には現預金や不動産など価値のあるプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も入ります。マイナスの財産分をプラスの財産から引いてやる必要があるということです。

 

これをしないと不当にプラス財産だけが大きくなり、その分相続税の負担が増しますからマイナスの財産もしっかり把握する必要があります。もしマイナスの方がプラスを上回っている場合には「相続放棄」という手続きを取らないと相続人は借金返済に追われることになります。

 

賃貸経営では、借り入れをしていることが多いですが、事前に整理して借入額を明確にしておかないと相続人は慌ててしまうことになります。

 

相続人となる配偶者や子供は、相続財産を正確に把握しているケースは稀です。そのため、本人がなくなってしまうと、正確に相続財産を把握するのに困難を極めることが多々あり、これが、最初の段階でとても大変な作業となっています。

 

財産の棚卸を、相続人にもわかる形で残しておく必要があります。

 

 

プラス・マイナスの財産にはどんなものがある?
プラス財産になるのは現預金だけでなく株式や国債、証券類やその他有価証券などの金融資産、土地や建物などの不動産、車や宝石などの動産、著作権などの権利関係もプラスの財産になります。

 

【プラスの財産】
・現預金
・株式、国債、証券等有価証券
・土地・建物などの不動産
・車
・宝石
・著作権

 

マイナス財産になるのは借入金などの借金、未払いの税金、未払いの家賃や医療費、保証債務などがあります。保証債務について注意しなければならないのは、相続税の計算上で遺産総額から引くことができる債務控除には原則としてあたらないということです。

 

【マイナスの資産】
・借入金(賃貸経営での借入等)
・未払いの税金・家賃・医療費等
・保証債務(条件付き)

 

保証債務については、主たる債務者が弁済不能の状態にあるため、保証人がその債務を履行しなければならない場合で、かつ、主たる債務者に求償権を行使しても弁済を受ける見込みのない場合には、その弁済不能部分の金額についてのみ債務控除の対象となります。

 

この点遺産分割上の扱いはまた異なり、保証債務は各相続人の法定相続分に応じて各人が負担することになります。

 

 

賃貸経営の土地・建物は評価が下がる!
地主の相続対策、お金もちの相続対策としてアパート経営をされているので、知らない方も少ないと思いますが、プラスの不動産(土地・建物)も誰かに貸している場合は、自分で100%利用できない不動産(土地・建物)ですから、相続税の算定の際の財産から、その「自由にならない度合い」分を引いてやる必要があります。

 

また借地人にとっても同じで、借地権という権利はそれ自体他人に譲渡できる財産権ですから評価しなければなりませんが、価値としてはそう高くないのでその分を引いてやる必要があります。

 

そこで地主側から見た貸宅地の評価としては「自用地評価額×(1−借地権割合)」として計算し、借地人から見た借地権評価額としては「自用地評価額×借地権割合」となります。「借地権割合」は路線価に記載されており、場所によって異なります。

 

したがって、相続財産の評価が下げられることは知っていても、いざ、自分の保有物件がどこまで下がるのかを正確に把握することは、相続対策のシミュレーションをするまで把握していない人が大半です。

 

そのため、賃貸経営に使われている不動産を正確に評価することが、とても重要となります。

 

まとめ
・相続財産の棚卸は、事前にしておくこと
・相続財産の目録は、相続人がわかるようにしておくことが必須

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