経費を制する:支払利息とデットクロス
銀行融資を受けている人は、銀行への返済があります。すべてを経費にできればいいのですが、金利分しか経費できないことを把握しておきましょう。
科目 | 経費計上できるもの | 経費計上できないもの |
---|---|---|
支払利息 |
・借入金返済のうち、支払利息分のみ
ただし、不動産所得が赤字の場合は、赤字のうち土地等を取得するために要した借入金利子部分は必要経費には算入できません |
・銀行への毎月の支払いのうち、元本返済部分(負債が減っているため)
不動産所得が赤字の場合は、赤字のうち土地等を取得するために要した借入金利子部分 |
支払利息
銀行への借入金の返済は、支払利息しか経費になりません。
つまり、元本返済分については必要経費とはなりません。
銀行への返済で現金支出をしているのですが、元本返済分は経費とならないため、元本返済分については、現金支出が伴うのに、税金がかかる対象となります。ここが賃貸経営のもっとも大変なところです。
現金が出ていくのに、経費にできない支出となるため、キャッシュが手元にないのに、税金の支払いに追われることになります。
初めて賃貸業務を行う場合
初めて賃貸業務を行う場合は、業務開始日前までに取得した土地・建物の借入金利は取得価額に含めます。既に業務を営んでいる場合は、経費化できます。
業務開始の判断は、建物が完成して賃貸するという意思表示を客観的にした時点と考えられています。不動産会社に入居者の仲介斡旋を頼んだ時点」、「入居者の募集広告を行った時点」などがその意思表示だとされています不動産会社へ入居者の斡旋を頼んだ時点とされており、よく確認してください。
デッドクロスについて
賃貸経営を続けていくと、よくデットクロスになると言われることがあります。
デットクロスとは、家賃収入に対する課税金額と実際のキャッシュフローが逆転しまう現象をいうものです。つまり手元キャッシュフローより課税額が多くなってしまう現象を指します。
どのような時にそれが発生しやすいかというと、
元本返済が減価償却より多くなると課税所得が上がり、キャッシュフローが出にくくります。
つまり、元本返済分と減価償却は、課税所得を計算する際に、真逆の動きをするのでこの関係が崩れるとキャッシュがでにくいということです。
元本返済分 :現金支出があるのに、経費にできず、税金が掛かる対象
減価償却 :現金支出がないのに、経費にできるので、税金がかからない対象
デッドクロスを心配するのは、収支がそれほどよくない状況の物件を買ったときです。
利回りが高く家賃収入が高い物件であれば、確かにキャッシュフローは落ちてはきますが、それほど恐れる問題ではありません。
拡大していくつもりがあれば、物件を購入していけば、経費や減価償却が増えてきます。
法人であればさらに役員報酬を増やす、旅費規程を作る、法人保険を活用する等のいろいろな節税手法を組み合わせることができます。
まとめ
賃貸経営上、元本返済分と支払利息は非常に重要なものです。元本返済分が経費にならないことを理解して利益をコントロールしていく必要があります。
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