不動産投資の税務、損益計算書について

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損益計算書の基本

 不動産経営の1年間の収支である損益計算書の基本を理解しましょう。

 

損益計算書とは
損益計算とは、家賃収入がどれだけあり、家賃収入を得るために費用はいくらかかり、結果どれくらい儲けがあったかといった収支の情報を記載したものが、損益計算書と呼ばれる表です。

 

賃貸経営の1年間の成績を表したものです。今期(通常は1年)得た利益を示します。
家賃などの「収益」−「費用」=利益

 

賃貸経営は、固定資産である不動産の仕入れを行った後は、その固定資産から収益をあげていくビジネスモデルです。利益の出し方がシンプルな損益計算書となります。

 

不動産経営の損益計算書の理解
大事な科目を理解すると、損益計算書はそれほど難しくありません。
収入からどれくらいの費用がかかり儲かっていたかを表していますが、利益の概念がやや複雑に見えますが、慣れておきましょう

 

法人の損益計算書を基本としますが、個人の申告もほぼ同じ概念です。個人と法人の科目で同じ色がほぼ同等の内容となっています。

※売上は、家賃収入しかないことを前提

※簡単に理解するため、特別損益の科目は外しています

 

【個人の損益計算書】
 ・収入金額        XXX・・・家賃収入、駐車場収入等(法人の売上高に相当)
 ・必要経費        XXX・・・経費、金融機関への支払利息(法人の販管費、営業外費用に相当)
 ・差し引き金額    XXX・・・家賃収入から必要経費を引いた経常利益(法人の経常利益に相当)
 ・専従者給与    XXX・・・家族への給与
 ・青色青色申告特別控除 XXX
 ・所得金額        XXX・・・税引前の利益(法人の税引前当期純利益に相当)

 

【法人の損益計算書】
営業損益の部
 ・売上高         XXX ・・・家賃収入、駐車場収入等
 ・売高原価      XXX ・・・物品や製造ではないので基本はありません
  ・売上総利益 XXX ・・・賃貸経営では売上高と同じになります

 

 ・販管費及び一般管理費 XXX ・・・管理費や修繕などの経費
  ・営業利益     XXX ・・・家賃収入から経費を差し引いた利益(主たる営業活動の利益)

 

 ・営業外収益    XXX ・・・受取利息や保険金等
 ・営業外費用    XXX ・・・金融機関への支払利息
  ・経常利益     XXX ・・・ 営業利益に営業外の損益をプラス

 

  ・税引前当期純利益     XXX ・・・経常利益に本来は特別損益をプラス
  ・法人税等     XXX ・・・法人税支払い
  ・当期純利益 XXX ・・・税引き後の純利益

 

個人と法人で科目が異なりますが、概ね似た内容になっているので、解説します。

 

個人の収入金額≒法人の売上高
基本は、家賃収入です。
駐車場収入や、アンテナ基地局収入、自販機収入、太陽光発電収入等が含まれます。

 

 

個人の必要経費≒法人の販管費及び一般管理費、営業外費用
必要経費すべてとなります。
管理費、修繕費、広告費、通信費、交際費等、賃貸経営に間接的にかかる費用となります。
※法人では、銀行への支払利息をテクニカル的に営業外費用に計上しますが、賃貸経営上は営業内費用と捉えても差し支えないと思います。

 

法人の営業利益
賃貸経営の主たる営業活動で得た利益を指します。つまり、家賃収入から、売上をあげるためにかかった費用を引いた利益のことです。賃貸経営の本業で、いくら儲けたのかがわかります。

 

初年度は物件の購入費用で赤字になる可能性はあるものの、二期以降でマイナスになると致命的で、会社の存続が危ないでしょう。減価償却の金額を外しても赤字の場合は、キャッシュフローがマイナスになっています。銀行への返済が難しいでしょう。

 

個人の差し引き金額≒法人の経常利益
賃貸経営の主たる営業活動で得た利益と、それ以外に得た利益をプラスした利益を指します。法人では銀行への支払利息を営業外にしていますが、個人の申告書では、営業利益と経常利益をわけていません。

 

また、法人では役員報酬や人件費が「販管費および一般管理費」に含まれるが、個人の専従者給与は別だしになっているところが異なる点です。

 

法人は、経常利益ベースが事業全体の利益を表しているのでもっとも重要です。
銀行が最も注目する数字で、経常利益が黒字になる決算にしていきましょう。

 

個人はどちらかというと、「個人の差し引き金額」も重要ですが、「所得金額」がより重要となります。

 

個人の所得金額≒法人の税引前当期純利益
法人では、物件の売買がない限り、特別損益は発生しづらいので、概ね経常利益と税引前当期純利益が一緒になります。個人では、専従者給与(法人での役員報酬もしくは人件費)と複式簿記で帳簿をつけていれば65万の青色申告控除があり、差し引いた金額が所得となります。

 

個人の所得金額と法人の税引前当期純利益が、事業全体の利益を表しています。

 

・不動産経営を拡大したい人は、所得金額、税引前当期純利益を黒字化しましょう。法人は物件売却による特別損失がある場合は、理由を付しておくと、銀行は経常利益側を重視して与信評価してくれます。

 

・不動産経営で節税したい人は、必要経費≒販売管理費・一般管理費を積み上げることで利益をゼロもしくは赤字にしていくことになります。

 

まとめ
損益計算書の基本的な売上、経費、利益の3つについては、確実に理解しましょう。ここがわからないと節税するポイントがずれてきてしまい、想定した効果がでないからです。

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