経費を制する:減価償却費
減価償却が節税になると言われているのを知っている方は多いのですが、具体的に何をどうすれば節税になるのかを把握できている人は少ないでしょう。まずは減価償却の基本を理解しましょう。
減価償却資産とは
何度も繰り返し使える価値があるもので、時の経過とともに、少しずつ価値が減少していくものを「減価償却資産」と呼びます。建物、建物付付属設備、船舶、航空機、機械装置、車両運搬具などが減価償却資産に該当します。
賃貸経営の場合は、入居者が住む「建物」やエレベータ、機械式駐車場などの「機械装置」、建物内の給湯器やキッチンなどの「建物月付属設備」などが該当します。
建物は、長い時間を掛けて価値を無くしていき、最終的にはゼロになるわけですが、資産の種類ごとに、定められています。このことを法定耐用年数と呼び、法定耐用年数に基づき、償却していく年数が決まってきます。
(参考:国税庁発表資料より)
種類 | 構造又は用途 | 細目 | 耐用年数(年) |
---|---|---|---|
建物
|
鉄骨鉄筋コンクリート造 |
住宅用 | 47 |
レンガ造、石造、またはブロック造 | 住宅用 | 38 | |
鉄骨造:金属造、骨格材 |
住宅用 | 34 | |
肉厚三mm超、四mm以下 | 住宅用 | 27 | |
肉厚三mm以下 | 住宅用 | 19 | |
木造(または合成樹脂造) | 住宅用 | 22 |
賃貸経営では、建物の資産を取得することで、資産を使い収入を得ることです。減価償却では、資産に投下された資金を法定耐用年数の全期間に渡って回収していくことになります。
そのため、減価償却資産の建物にかかった金額を、即時全額を経費計上できず、法定耐用年数の各課税期間に経費として計上することになります。
新築の木造建物を1000万円で購入したとします。新築の木造の耐用年数は、22年となっています。所得計算上の経費になる減価償却費は、1000万円を22年かけて均等に償却していくことになります。耐用年数22年の償却率は0.046になりますので、1000万*0.046=46万円となります。
償却率を覚えることが難しいので、単純に1000万円を22年で割っても算出できます。
1000万÷22年=46万円となります。
修繕費の資本的支出
「経費を制する:修繕費」で修繕費の資本的支出が減価償却扱いとなると説明しましたが、部屋の価値(資産の価値)が増加する場合やグレードの高い外壁塗装により、建物の使用期間が延長する場合には減価償却の対象として、償却していくことになります。
銀行の中には、減価償却扱いとなった修繕内容については、担保評価する際に考慮し、融資年数が伸びる場合もあります。今後は、中古不動産の流動化が政府としてテーマになっていますので、修繕内容によって融資年数が伸びるケースは増えてくるでしょう。
減価償却費の注意点
減価償却費は、劣化していくものを取得した場合、何年間かにわたって均等に劣化分を経費計上していくことになります。そのため、土地は劣化しないので減価償却資産になりません。
賃貸経営では、土地と建物を購入するケースが多く、その土地については、減価償却資産とすることはできないので、土地は、資産として残ることになります。
メリットとしては、価値の減らない資産をもっていことでバランスシートは良くなるのですが、デメリットとしては経費化できないため、節税には向かないということです。
土地値比率が高い物件だと、それほどの節税ができないことになります。
まとめ
減価償却とは、繰り返し使えるが徐々に価値が落ちてくる建物や設備をイメージしましょう。取得初年度に全額を経費化するのではなく、耐用年数の年数に基づき経費化していきます。
どこが節税になるのか、税金のコントロールになるのかは次の項目で見ていきましょう。
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