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どの財産が委託できるか

家族信託はどんな財産でも信託できるわけではありません。世の中には「信託できる財産」と「信託できない財産」があります。では、信託可能な財産とはどのような財産が該当するのか把握しましょう。

 

信託できる財産とは
委託者が受託者に信託できる財産については、次の要件すべてに該当する必要があります。

 

1:金銭的価値に見積もることができるもの
お金に換算して計算することができる財産のことをいい、例えば現金、不動産、有価証券、骨董品など価値のあるものなどあらゆるものが含まれます。さらに、人にお金を請求できる「債権」もこれに含まれます。例えば、売買代金などの「売掛金債権」や、お金を貸した場合の「貸金債権」などがこれにあたります。

 

なお2004年に信託業法が改正され、著作権や商標権などのいわゆる「知的財産権」についても信託できるようになりました。

 

2:プラスの財産である
財産は、大きく分けてプラスの財産とマイナスの財産に分けられます。プラスの財産とは、先ほど言ったような現金、不動産、有価証券など持っていてプラスになる財産のことを言いますが、これに対しマイナスの財産とは、一言で言うと「借金」のことです。借金は信託することができません。

 

3:委託者の財産から分離できる
信託するということは、受託者に信じて預けることですから、委託者本人から分離できる財産であることが前提となります。

 

不動産オーナーや賃貸経営者にとっては、不動産、現金、有価証券あたりが信託の候補になるでしょう。

 

 

信託できない財産とは
これに対し信託できない財産とは、次のうちどれか一つにでも該当する財産のことを言います。

 

1:金銭的価値に見積もることができないもの
2:マイナスの財産である(借金等)
3:委託者の財産から分離できない

 

分離できない財産とは、ちょっと難しいニュアンスなのですが、具体的に言うと、委託者本人の命や体、さらには名誉と言ったものがこれに該当します。

 

不動産の場合は、多くは、借金していますので、借入を信託でないとなると、不都合が発生します。いくら受託者に不動産の売買まで任せても、売却時に不動産に抵当が入っていますので、これをクリアしないといけません。

 

どうしても借金を信託したい場合の対処法
通常、信託したい財産というものはもともとプラスの財産であることが多いのですが、場合によってはマイナスの財産を信託したくなる状況が発生します。

 

収益不動産・自宅は信託対象財産ですから、家族に信託することが可能です。ただ、不動産を購入する際は銀行からローンを組んで購入しています。自宅であれば「住宅ローン」、賃貸物件であれば「アパートローン」などを利用して不動産を建てているかと思います。

 

この際、先ほどの原則に則ると、不動産は信託することができますが、不動産を買うためにつくった借金はそのまま委託者の手元に残ることになってしまい、抵当権が設定されている不動産(担保権付不動産)の性質上非常に不便な状況が生まれてしまいます。

 

このような状況を解決する方法としては、信託ではなく「債務引受け」という手法を使うことになります。つまり、不動産については信託財産として信託し、それに係るローンなどの借金部分については受託者が債務引受けをすることで、事実上プラスの財産とそれに係るマイナスの財産の双方を受託者に管理させることができるのです。

 

債務引受けを利用する際に注意点
債務引受けには次の2つの種類があります。

 

1:免責的債務引受け
債務引受けによって当初の債務者が債務から免れる債務引受けのことを言います。

 

2:併存的債務引受け
債務引受けを行なった後についても、引き続き当初の債務者も債務を負う債務引受けのことを言います。

 

免責的債務引受けの場合は、お金を融資している債権者側にも影響があるため、債務引受けが成立するためには債権者の同意または合意が必要となります。

 

これに対し、併存的債務引受けは引き続き原債務者も責任を負い続けることになり、債権者の利害を損なうことがないため、債権者側の同意がなくとも債務引受けは成立します。賃貸経営の場合は、併存的債務引き受けといって、債務をそのまま引き継ぐ方法となります。

 

まとめ
・借入がある場合、収益不動産・自宅の借入を債務引き受けすれば、不動産を信託することは可能

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