高齢の不動産オーナーは、認知症対策が必須

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家族信託に興味があるが、抵抗がある場合の裏技

家族信託のメリットを活用すれば、自分が認知症になったとしても、滞りなく受託者である家族に財産の管理、すなわち賃貸経営であればその運営自体を円滑に行ってもらうことが出来ます。ただ、人によっては自分がまだ元気なうちは、できる限り自分自身で管理したいという人も多いのも事実です。

 

実際、私の親もまだ認知症になっているわけでもないのに、息子や娘に資産の管理をすべて任せる家族信託には二の足を踏みます。そこで、実際の認知症になってから家族信託を開始できる方法として、2つの対策の方法があります。

 

@途中から家族信託に移行する方法
通常、家族信託を利用する場合、家族を受託者として信託契約を結び、その時点から信託が開始します。これを契約信託と言います。

 

通常、この契約信託は契約を締結した時点で、他人に自己の財産の管理を任せるという事に抵抗があるという場合には利用が出来ないと思われがちですが、実は自分自身が認知症になったと同時に信託を開始するという裏技があります。

 

ステップ1:信託契約書の作成

 

まず、自分自身が元気なうちに自己の所有する賃貸物件などの財産の信託契約書を作成します。この際、信託契約書に記載する内容は以下の通りです。

 

1:信託をする目的
2:信託をする財産の詳細
3:信託財産の管理、運用方法について
4:信託の委託者、受託者、受益者について
5:信託終了時点についてと、その時の信託財産の帰属先について
6:信託の変更に関する規定
7:信託監督人や受益者代理人を置く場合はその規定

 

ステップ2:信託登記に必要な書類の準備

 

信託財産は分別管理することが求められますが、賃貸物件の場合の分別管理は「登記」によって行ないます。この分別管理は受託者の義務であり、登記できる財産は登記しなければ信託財産であることを第三者に対抗できません。

 

このように賃貸物件の信託には必ず「登記」という手続きがつきまといます。そして信託登記には次のような書類が必要となります。

 

【信託登記の必要書類】
1:信託契約書(委託者本人の署名捺印が必要)
2:不動産の権利証
3:印鑑証明書(発行3ヶ月以内のもの)
4:固定資産税評価証明書
5:信託目録
6:委任状

 

 

これらをすべて予め準備します。
ここまでできれば手続きはすべて完了です。あとは、将来本人が認知症にかかった瞬間に、司法書士がこれらの書類をもって信託登記を行なうことで、認知症と同時に信託契約をスタートすることが可能です。

 

ポイントは、信託契約書と委任状への本人の署名捺印です。この2つが本人の判断能力があるうちになされていれば、後の手続きは本人が認知症にかかった後でも事前に委託しておいた弁護士や司法書士が滞りなく行なってくれます。

 

A停止条件付信託契約という方法
他にも将来の認知症リスクに備える方法として、「停止条件付信託契約」という方法があります。例えば、先ほどのように、本人が元気なうちは自分自身で賃貸経営を行ない、将来認知症になったり成年被後見人になった場合に信託をスタートさせたいという場合は、「停止条件付信託契約」を結ぶという方法があります。

 

停止条件付とは、ある条件を設定してその条件を満たす状態になったところから契約の効力を発生させるという契約方法です。この場合、「私が認知症と診断されるか、または成年被後見人となった場合」これが停止条件となり、この場合に信託契約がスタートするというものです。

 

このような信託契約書を予め作成しておき、条件を満たした段階で信託登記をします。これにより、本人に自分で賃貸経営をできるだけの判断能力があるうちは、自分の好きなように管理ができ、万が一のときはスムーズに信託が開始します。

 

このように、信託契約は停止条件を予め設定しておくことで、一定の条件をトリガーとして信託を開始することができます。

 

仮に本人の死亡を原因として信託をスタートさせるのであれば「遺言信託」という方法がありますが、本人が生存している間に関しても、任意の条件を設定しておき、その条件に当てはまった段階で信託をスタートさせるという方法を使うことで、より家族信託を活用する幅が広がってくるのではないでしょうか。

 

まとめ
・今から家族信託に切り替えるのに抵抗がある場合には、家族信託の書類をすべて揃えておく方法や停止条件付の方法で、備えておくことが重要

 

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