法人で自宅を購入し役員社宅として利用について

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役員社宅の利用で節税(所有)

役員社宅を活用する方法は、法人名義で物件を「賃貸」する方法ともう一つ、法人自体が物件を「所有」し、その自らの所有物となった物件を役員に貸し出すという「所有型」の方法があります。

 

ただ、この所有型の役員社宅には、メリットもあればデメリットもあるので、そのポイントを押さえてくことが重要です。そこで今回は所有型の役員社宅のメリット、デメリットをわかりやすくご説明します。

 

会社で社宅を所有するメリット

 

1:経費が増えることによる節税効果

 

役員自らがマイホームを購入しても、当然ながら会社の経費にできるものはありません。けれども、これを会社名義で購入して、その後役員に社宅として貸し出すことで、次のような経費を税務上損金計上できるようになります。

 

・物件購入時の借入利息
・減価償却費
・不動産取得税
・固定資産税
・印紙税
・不動産登記費用
・その他維持管理費用
・修繕費
・仲介手数料

 

2:相続税対策

 

マイホームを相続する場合と、役員社宅を所有している会社を事業承継する場合とでは、課税される相続税が圧倒的に後者の方が有利になります。

 

事業承継の場合は、実質的には「株式の相続」となるため、物件を直接相続する場合に比べ節税もしやすく、あらかじめ「価引き下げ対策」などを講じておけば、さらに節税することが可能になります。

 

このように、個人がマイホームとして購入するよりも、会社名義で購入した方がかなり多くの費用を経費として計上したり、相続税を節税することが可能になります。ただ、その反面、次のようなデメリットもあります。

 

会社で社宅を所有するデメリット

 

1:住宅ローンが使えなくなる

 

会社所有型の一番のデメリットは、住宅ローンが使えなくなるという点です。住宅ローンは他のローンに比べ、非常に低い金利で融資してくれるため、マイホーム購入時に使わないと確実に損です。

 

会社で借入した場合は、事業用ローンという扱いになるため、金利が住宅ローンに比べて圧倒的に高くなるのです。さらに、住宅ローンは「住宅ローン控除」を10年間受けることができるため、これも最低限活用したいところです。

 

2:売却益に対する税金が高い

 

不動産を売却して利益が出ると、譲渡所得税が課税されます。個人のマイホームの場合は、特例制度として「3,000万円控除」が使えるため、3,000万円以上の売却益が出なければ、譲渡所得税は課税されません。

 

ところが、会社名義で所有している物件を売却した場合については、利益をそのまま会社の益金として計上しなければならないため、法人税の対象となります。個人の譲渡所得税のように、3,000万円控除などはありませんので、物件を売却して売却益が生じた場合は会社所有の方が不利なのです。

 

以上のように、マイホームは個人で購入した方が何かと税制面などで有利なため、わざわざ法人で役員社宅用の物件を購入することは得策ではありません。それよりも、まずは個人のマイホームとして購入し、10年間の住宅ローン控除を活かし切った後に法人所有に切り替える方が良いでしょう。

 

所有型の場合、役員にいくらで貸せばいいのか
会社が所有している物件を役員に社宅として貸す場合についても、賃貸型と同様に役員が支払う賃貸料相当額に規定が設けられています。会社所有だからといって、会社が好きなように家賃を設定できるわけではないのです。

 

賃貸料相当額の計算方法は、賃貸型と同じく次のようになります。1?3を合算した金額が、賃貸料相当額となります。

 

【床面積が99平方メートル(木造などの場合は132平方メートル)以下の場合】
1:(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
2:12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル)
3:(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

【床面積が99平方メートル(木造などの場合は132平方メートル)を超える場合】
1:(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×10%(木造等の場合は12%)
2:(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

 

役員社宅は、「所有型」と「賃貸型」どっちが良いのか
では、役員社宅は所有型と賃貸型のどちらの方が良いのでしょうか。結論から言うと、役員社宅をこれから初めて活用しようと考えるような会社の場合は、まずは「賃貸型」をお勧めします。

 

所有型は、やはり会社名義で買うためそれなりにハードルが高くなります。そもそも会社名義で購入しようにも、銀行から融資を受けることはそう簡単ではありません。

 

また、一度個人で買った不動産を法人名義に変更するには、不動産登記における所有権移転などの登記が必要になるため、司法書士に依頼したりなどとても面倒です。

 

それに比べ、賃貸型の場合は会社名義で借りるだけですので、銀行からの融資や煩わしい名義変更手続きも必要ありません。そして何より、経理処理も楽なため、経理担当が少ない中小企業の場合は、できる限り賃貸型の方が処理がスムーズです。

 

まとめ
・所有型は、自宅(役員社宅)への法人融資のハードルが高い
・所有型より賃貸型の方が簡単かつリスクが低い

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