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任意償却は使わない方がいい

法人では、減価償却について任意償却ができると言われているが、使わない方がいい理由を記載します。ただし、任意償却については詳しくない方はこの記事は無視して頂いて構いません。

 

よく聞かれる任意償却とは
減価償却費は、賃貸経営の損益で大きな金額となる経費です。そのため、減価償却によって赤字になったり黒字になったりするくらい影響力があります。そのため、減価償却を少しいじれたらいいなという考えを持つ方がいます。

 

個人では、減価償却の任意償却という概念はなく、減価償却費をすべて経費化しないといけません。しかし、法人では、任意償却といって、算出した減価償却費の範囲であれば、調整ができると考えられています。例えば、1000万の減価償却費があるが、今年は利益が500万しかないので、減価償却を450万に抑えて利益を50万だせば、銀行にも良い評価を受けるだろうと考えて調整できるという考えです。

 

任意償却できる根拠は
確かに、税法上は、「損金つまり費用として認める減価償却費は、法定耐用年数に基づいた償却限度額と法人が減価償却費として会計処理した金額のいずれか少ない金額」となっています。この後半の部分の「法人が減価償却費として会計処理した金額」というところがポイントになります。

 

簡単にいうと、減価償却限度額内であれば、少なくした減価償却でも損金とできると考えられています。このことをもって、法人税法上は、任意償却が認められているという表現になります。そして減価償却費内で調整した減価償却費の計上を行っている方が多くいます。

 

法人税法上は任意償却でも問題はありません。なぜなら、税務署はたくさん税金を納めてもらえればいいので、任意償却で損金(費用)計上が少なくなり、結果として法人税が多くなるのはいいことだからです。そのため、税務署から任意償却について、指摘を受けることはほぼないでしょう。

 

決算も良好になるため、見栄えが良くなるので、問題ないと思っている方が多いのですが、任意償却を行うと銀行からの評価が高まらないことがあります。

 

銀行に任意償却はマイナスに見られる
企業の会計原則においては、固定資産はその資産の耐用期間または有効期間にわたって、定額法や定率法など一定の減価償却の方法によって、その取得価額を各事業年度に配分しなければならないとしています。つまり、会計上は任意償却を認めていません。

 

そのため、銀行は下記2つのポイントでマイナスになる

 

@企業会計原則に反している
一般に上場企業などでは、企業会計原則に反した償却を行うと、監査人である公認会計士から修正を指示されます。修正をしなければ、適正な決算として認められないため、上場を維持することも難しくなります。任意償却して黒字にできるならば、大手の電気メーカーが巨額の赤字を出したことがありますが、それさえも黒字にできてしまいます。

 

そうなると、利益調整が企業の判断でできてしまい、投資家にとって不利益になるため、任意償却は会計原則で認められていません。中小企業は、上場していないし、任意償却したからといって罰則規定はないので問題はほとんどありません。

 

しかし、銀行からすると、企業会計原則から外れた決算をされたらどのように思うでしょうか。

 

基本的には、銀行の評価は企業会計原則に基づいた評価をしていくため、任意償却していても、任意償却前の減価償却費をもとに算出している銀行の方が多いでしょう。つまり、銀行対策として任意償却してもほとんどが無駄ということになります。

 

A正しくない決算操作をしている認定される
賃貸事業で問題なるのは、こちらです。評価上、任意償却前の減価償却費に戻されるだけであればいいのですが、任意償却を使い、決算対策として良くない利益調整をしている経営者と烙印を押されることになることです。

 

つまり、決算対策として、決算書を粉飾するのではないかと疑念を持たれることになります。任意償却を使って使って利益調整することは、正しい決算書の作成ができていないといえます。無駄な努力で企業自体の信用を失うことになります。

 

こうなると、次の物件の融資の時にも引っかかりやすくなります。任意償却をしているかは銀行側は簡単にわかってしまう操作です。特別な事情があって行いたい場合は、逆に銀行に確認した方がいいでしょう。

 

まとめ
 節税の反対になりますが、利益を出すための決算対策として任意償却をされる方がいますが、上記のリスクは覚悟の上でされるといいでしょう。銀行対策になっていない手法なのでお勧めできる方法とは考えていません。

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