法人の設立(出資割合)
法人設立時には、資本金を決めた後、資本金の内訳となる出資割合を決める必要があります。
法人の出資者を決めるポイントは、
・銀行融資にマイナスにならないかどうか
・相続をどのようにするかが
ポイントなります。
ちなみに法人の出資割合は、毎年の法人税、住民税及び事業税の計算に影響を及ぼしません。
融資のための銀行目線のポイント
銀行の基本姿勢としては、融資を受ける本人のみの出資者が望ましいと考えています。銀行は、融資を受ける人と出資者が100%一致していれば、分かりやすい関係で何かあっても融資を受ける人とすればいいからです。
融資を受ける本人以外の他人が入る場合は、配偶者まででないと融資が厳しくなります。当然他人ですから出資者とトラブルになりやすいからです。銀行は出資関係のトラブルで事業が行き詰まるケースを多くみていることから、他人資本を入れた新設法人に対する融資は、厳しくなります。
またそもそもがサラリーマンが不動産経営を始める上で、資産形成の一部として行うのに他人資本を入れるということが認めにくいからです。そのため、他人資本は配偶者にしておいてください。相続者であるため、本人に何かあっても経営の継続の観点からも問題が少ないからです。
本人の出資割合が50%を切るようなことはなるべくしないてでください。但し、銀行によっては配偶者の出資も嫌がるケースがあるので、銀行に確認してから設立することをお勧めしています。
・合同会社では50%超であれば構いません
・株式会社では、望ましい水準としては、2/3以上の株式です。数字でいえば67%以上にしてください。ざっくり70%以上と覚えておいてください。何故67%以上かというと、株主会社での総会での特別決議事項が2/3以上となっているからです。事業の重要な財産の一部譲渡については、収益不動産の売却になりますので、配偶者に反対されて売却できないという事態を避けるためです。
今のご時世、離婚も珍しくない状況のため、離婚して他人となる可能性もあるため、70%以上の出資割合を確保するようにしてください。
相続税のポイント
法人の出資者は法人の相続財産を出資割合で所有しているので、法人財産が多額にあり、出資割合が大きい方が亡くなると、相続の際に相続税負担が増します。そこで設立時点で出資者を分散しようという方向性になります。
融資をほとんど受けないで法人化して節税や相続対策として設立するのであれば、出資者を分散しておくことは意味があります。その方が、相続の負担が少なくなるからです。
出資者を分散すると経営上の意思決定が難しくなります。そのため、融資のポイントと同様に、合同会社では出資の50%超、株式会社では67%以上持つことが必要になります。関係が悪化した際にも法人の意思決定をしなくてはならないからです。
まとめ
結論:本人が合同会社では50%超、株式会社では67%以上を保有することをお勧めします。また他人資本は入れず配偶者までとしてください。子供世代には、将来的に少しずつ法人の株式(出資)を贈与することも視野に入れて相続税対策をすることをお勧めします。