凍結破損による給排水設備の火災保険適用について
冬の時期になりますと、水道管の凍結ということがあります。北海道や、東北などの不動産物件には、もともと凍結防止の対策されているものが多いですが、関東、中部、関西、九州などのエリアでは、そのような対策を施されていない物件も多くあります。
このような凍結防止対策が施されていない物件や、対策がっても古くなってしまった配管では、水道菅が凍結して破裂するということがよく起こってしまいます。
水道管の凍結とは何℃になったら起こるのか
水道管の凍結は、気温がマイナスになると起こりやすくなります。一般的には、気温がマイナス4℃を超えてくると凍結することが多くなります。水道菅の凍結を防ぐためには、水を事前に抜いておいたり、外のむき出しの配管には保温材で巻いておくなどの対策があります。
水道管が破裂することがある
凍結すると、水が出ないだけならまだいいのですが、水は凍結すると膨れるので、水道管に圧力がかかり、破裂することがあります。この破裂が起こりますと、水が大量に漏れだすということになります。
水が漏れた個所が、部屋の外であれば、共用部などに水が漏れるだけでそれほど被害はないのですが、部屋の中を通っている配管で破裂があると、部屋の中が損害を受けて多額の修理費用が掛かってしまうこともあります。
水道菅が破裂したらどのような保険が適用できるのか
水道管が破裂した場合に適用できる保険は大きく2つとなります。
@水濡れ補償
水濡れ補償が使える場合というのは、凍結後破裂したことによる被害に対してです。つまり、水道管が凍結によって破裂し、建物や家財が水浸しなって使い物にならなくなった場合は、「水濡れ補償」を付帯させていると補償の対象になることがあります。
この「水濡れ補償」は給排水設備の事故が原因で、建物や家財が受けた損害を補償するものだからです。
したがって、水道菅破裂により、部屋が水浸しになった場合などは、その被害に対して保険金が支払われることになりますが、水道管破裂しても被害がなかった場合には、保険金が支払われることはありません。共用部の配管の破裂の場合には、水が漏れても建物に被害がないケースがほとんどで、水濡れの補償対象外となります。
そのため、水道管が破裂した個所を修理する場合には、下記の特約を付帯しておくことが必要になります。
A水道管凍結修理費用保険金
すべての保険会社にあるわけではありませんが、保険会社によっては「水道管凍結修理費用保険金」という特約を用意します。この特約は建物の水道管が凍結により壊れた場合に、修理費用が支払われます。
つまり、通常の補償の考え方は、損害の原因となった水道管破裂に対する費用は、保険の補償対象外になるのですが、この特約をつけておくと、水道管の破裂に対する修理費用がでます。
しかし、なんでも万能な保険ということではなく、かなりの制約条件がついています。1事故あたりの保険金支払い額が、5万円、10万円などのように制約をうけたり、共用部分の専用水道管は補償対象外のような制限がついています。
また、この費用保険という考え方自体が、最近になって売り出されている商品のため、7年〜8年前の保険には費用保険の考え方がなかった商品が多く、ご自分の契約に水道菅凍結修理費用が入っているかはよくご確認ください。
水道菅の凍結破裂は、「破裂・爆発補償」は適用されない
よく勘違いされるのは、補償の中で「破裂・爆発」です。水道管も破裂したら、この「破裂・爆発」が使えるのではないかと思われるのですが、適用されません。
なぜかというと、「破裂・爆発」は、「気体または上記の急激な膨張を伴う破裂または、その現象による衝撃、破損の損害」と書かれていますが、これは、ガス漏れによる破裂・爆発の損害を想定した補償であり、水道菅の凍結破裂は、気体の急激な膨張ではなく、液体が固体化する時の膨張であるため、「破裂・爆発」の対象にはならないのです。
まとめ
・水道菅が破裂して被害(部屋等)がでれば、被害に対して水濡れ補償が適用できる
・水道菅が破裂しても被害がなければ、水濡れ補償は適用できない
・水道菅の破裂に対する修理費用は、特約である「水道管凍結修理費用」を付帯してれば、制約はあるものの補償される
水道管が凍結し、破裂する事故というのは、毎年のように多く発生しています。保険会社は、通常、水道菅が破裂した修理費用は、補償の対象外であるものの、多くの方が困っているということで、破裂した水道管の修理費用を一定額までは支払いますよ、ということで「水道管凍結修理費用」を特約として付帯できるよようになっているので、必ず入っておくことをお勧めします。
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