火災保険の保険金額の決め方

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保険金額はどのように決めればいいか?

保険金額は、不動産投資家の方から相談されると、リスクを担保できる上限までかけることをお勧めしています。

 

保険金額を決める際の考え方はいろいろ考えられますが、賃貸アパート、賃貸マンションが倒壊して使用不能になる最悪の事態になっても破産しなくても済む水準で保険金額をかけておくということです。枕を高くして寝ることができます。

 

賃貸経営は、所有して数年もすると、きちんとした返済比率の物件を購入していれば、利益の出やすい投資です。保険金額を上限にすると最初の1年〜2年は高いと思うかもしれませんが、3年以上経って利益がでれば、安心料で経費と思えば、それほど高いコストではないでしょう。

 

不動産のプロの世界であるREITなどは、不動産購入時にエンジニアリングレポートなどで詳しく不動産を調査し、地震による予想最大損失額(PML: = Probable Maximum Loss)を算出して、その最大損失額において地震保険を付保したりしなかったり、あるいは投資対象から外すなどの高度な判断をしています。

 

しかし、サラリーマン不動産投資家および中小の賃貸経営者は、そのような高度な調査を行えないあるいは調査を厳密に行う前に投資をしているケースが多いと思います。そのため、プロの世界ではPML10%や20%というように判断しますが、サラリーマン投資家および中小の賃貸経営者は、建物が使用不能=つまり家賃収益がゼロになったときに破産しないで済む保険金額を設定することになります。

 

簡単に言うと、建物が使用不能=建物価値がゼロになったとき、保険金の上限額の支払いと土地のみの売却で残債がなくなる水準を指しています。建物の大きさによっては、下記火災保険や地震保険の金額が設定できない場合もありますので、その場合は、上限までかけてください。

 

【残債がある場合(銀行から融資を受けている)】
土地を売却すれば、残債が消えてしまうレベルが望ましいと考えています。

  • 残債が消えるレベルの保険金:(火災保険金の支払+(土地路線価*土地のu数))≧残債 

     ⇒例えば、1億円の不動産。価値は、土地路線価4000万、建物6000万。融資をフルローンの
        1億円で借りたケース:火災保険を6000万までかける.※地震保険は最大3000万
      結果:火災保険の上限額支払 6000万+土地路線価4000万≧残債1億円

 

金融資産が豊富な人は、 (保険金の支払+(土地の路線価*土地のu数)+金融資産)>残債 でも構いません。建物の評価額を上限まであげて、金融資産を考慮しても残債を上回らないこともあるかと思います。それは、最悪のケースが発生した場合には、家賃収入以外でカバーする他の収入があることといいでしょう。

 

さらにお奨めしているのは、「保険金の支払」は、地震保険の支払に設定することです。

  • お奨め: (地震保険金の支払+(土地の路線価*土地のu数)) ≧残債

     ⇒例えば、1億円の不動産。価値は、土地路線価4000万、建物6000万。融資をフルローンの
        1億円で借りたケース:地震保険を6000万までかける
        結果:地震保険の支払額6000万(※火災保険は1.2億円) +土地路線価4000万≧残債1億円

 

金融資産が豊富な人は、 (地震保険金の支払+(土地の路線価*土地のu数)+金融資産)>残債 でも構いません。この式ですと、建物の大きさが小さいと評価金額を上限まであげても、地震保険に6000万までは入れない場合もあります。

 

そのため地震保険の支払額で残債を上回らないケースが多いかと思いますので、地震で最悪のケースが発生した場合には、家賃収入以外でカバーする他の収入があることといいでしょう。

 

金融資産や家賃収入以外の収入が多い方、複数棟を各地にバランスよく保有しリスク回避ができている方は、上記を参考に保険金額を落としていけばいいと思います。また、利点としては、残債は、毎月減っていきますので、3年〜5年単位で保険金額を見直しして適切なバランスで保険料を掛けるといいでしょう。

 

【残債がない場合】
残債がない場合は、正直建物がなくなり、家賃収入がなくなっても返済はないわけですので、すぐに破綻する事はあまりません。
但し、家賃収入で生活していたりして、建物を建て直して事業を継続したい場合は、建物を再建築できるレベルで保険金額を設定しておくことがいいでしょう。

 

  • お奨め: 火災保険金の支払≧再建築費用
  • 非常に安泰:地震保険の支払≧再建築費用

 

少し、保守的な水準だと思いますので、残債がない場合は、お奨めの水準からどの程度引き下げても大丈夫そうかは、各不動産オーナーの判断になるかと思います。もし迷われるようでしたら、建物の標準の建物評価額をベースにした保険金額をかけておくことでいいと考えます。

 

結論:不動産オーナーは、どんな自然災害(地震等)があっても破綻しない仕組みを作る事が重要です。かなり保守的な保険の掛け方なので、参考にしてもらいながら、どこまで保険料を経費として支出して問題ないかで判断してください。

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