知らないと困る保険の知識:時価と新価(再調達価額)
時価と新価(再調達価額)の違いを理解し、賃貸経営オーナーは、新価(再調達価額)を採用しましょう。
新築の建物は、時間の経過とともに老朽化などによって価値が下がっていきますので、火災保険の契約にあたっては、建物などの保険の対象を正しく金銭に評価する必要があります。
この保険をつけた物を金銭に評価した額を、「保険価額」といいます。また、万が一火災が発生した場合に支払われる損害保険金は、契約時に設定した「保険金額」が限度となります。「保険金額」は「保険価額」をもとに設定しますので、保険の対象が正しく評価されず適切な「保険価額」と「保険金額」が設定されないと、損害額どおりの保険金が支払われません。
したがって、十分な補償を受けるためには、「保険価額」と「保険金額」の関係を十分に理解し加入することが大切です。
新築当時に5000万の価値がある場合、15年後の時価は建物の経過年数とともにたとえば3000万等へ価値が下がりますが、新価では新たに建築するのに必要な金額ですので同じ5000万となります。
経過年数が進んだ状態で全焼した場合、時価では新たに建物を建設することはできません。永続的に不動産経営を続けていくことを前提にした場合、全焼しても再建築できることが望ましいと考えています。土地・建物を一体で融資を受けて不動産経営していく場合は、時価評価の建物で補償されても、土地・建物の合計した融資が返済できないケースが多いからです。
保険価額:保険価額には、「新価」と「時価」という2通りの考え方があります。
- 新価:同等のものを新たに建築あるいは購入するのに必要な金額をいいます。
- 時価:同等のものを新たに建築あるいは購入するのに必要な金額から、「経過年数による価値の減少と使用による消耗分」を差し引いた金額をいいます。簡単に言い換えると、建物や家財などの現在の価値といえるでしょう。
保険金額:事故が発生した場合に保険会社が保険契約に基づいて支払う「損害保険金」の限度額のことをいい、保険価額をもとにご契約の際に設定します。
- 損害保険金:事故により損害が生じた場合に、保険会社が保険契約に基づき損害保険金を払います。
つまり、保険金額を高くしておくと、損害が大きい場合は、より損害保険金が支払われるため、保険金額を高くしておくことが重要になります。実はあまり知られていないのですが、建物の評価金額は、保険会社によって異なるものの、ある程度高く引き上げることは可能です。保険会社の担当によく確認してみましょう。
まとめ:不動産経営では、新価を採用しておいた方が安全です。万が一倒壊した場合でも再建築が可能になります。時価でいい場合は、築古建物で出口戦略を土地値売却を予定している場合です。つまり再建築が必要ない場合のみ時価で構わないと思います。
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