収益不動産の売却は、投資シミュレーションで判断できる

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売却はシミュレーションで判断できる

収益不動産の売却のタイミングを正確に判断するためには、確たる裏付けとなる参考資料が必要となります。そして、その参考資料となり得るのが「投資シミュレーション」です。

 

そこで今回は、この投資シミュレーションをどのように活用して、売却のタイミングを判断すれば良いのかについて、分かりやすく解説したいと思います。

 

2種類の投資シミュレーション
投資シミュレーションには、「税引き後のキャッシュフローシミュレーション」と「売却時の手残りキャッシュのシミュレーション」の2種類があり、それぞれが収益不動産の売却のタイミングを判断する上で重要な判断材料となります。

 

「税引き後のキャッシュフローシミュレーション」のポイント
キャッシュフローとは、賃貸経営における日々のお金の流れのことを言います。そして「税引き後」とは、すなわち、いくらの不動産所得が発生し、そして損益通算した結果、現実的にどれだけのキャッシュが残っていくのか、ということを意味しています。

 

ポイント@賃貸経営の宿命とは
賃貸経営において、銀行から融資を受けている場合は、銀行に返済するお金のすべてが経費となるわけではありません。経費計上できるのは、あくまで返済額の中の「金利部分」だけに限られます。

 

例えば、元利均等返済方式でローンを組んでいる場合、この経費となる金利部分が自動的に減少していくこととなります。経費が減っていけば、所得が多く発生することとなるため、税引き後のキャッシュフローはどんどん減少していってしまいます。

 

これがどんどん進行していくと、やがてデッドクロス現象が発生し、当初予定していた収益をどんどん下回っていきます。

 

つまり、不動産投資というものは、年月とともに当初から税引き後のキャッシュフローが悪化していく運命にあるということなのです。この運命を「宿命」と捉えてどう向き合っていくのかが、売却のタイミングを考える上でとても重要となってきます。

 

ポイント2:税引き後キャッシュフローに考慮すべき「家賃」と「稼働率」
また、税引き後のキャッシュフローを考える上で絶対に忘れてはならないのは「家賃」と「稼働率」です。失敗する不動産投資家の多くが、この2つのポイントを投資シミュレーションに正しく考慮できていないと考えられます。

 

「家賃」とはすなわち家賃下落リスクのことです。よほどの景気回復が実現しない限り、築年数に反して家賃が上昇するということは滅多にありません。

 

反対に、収益不動産が古くなって劣化していけば、新築当時の家賃水準を維持することは難しくなるため、家賃は築年数とともに徐々に値下がりしていきます。この値下がり分を投資シミュレーションに考慮しておくことがとても重要です。

 

また家賃と同様に、築年数が経過してくると、新築時のように「空室」がすぐに決まらなくなってきます。賃貸経営において空室は、損失を膨らませる大敵といえる存在です。

 

そのため、常に満室のような投資シミュレーションをしてしまうと、現実とはかけ離れたシミュレーションとなってしまうため、少なくとも築10年以上が経過している場合は、2年ごとに最低でも2ヶ月程度の空室期間を盛り込んで投資シミュレーションを作成するようにすると良いでしょう。

 

どの程度悪化したら売却するのか
賃貸経営における税引き後のキャッシュフローは、自然の流れで徐々に悪化していくこととなります。そのため、どれだけ悪化したら売却するのかを、予め考えておくことが大切です。

 

また、これら以外にも、築10年程度が経過すると、大規模修繕で多額の費用負担が発生する可能性もありますので、それらもすべて含めて、どの程度まで税引き後のキャッシュフローが悪化したら売却に踏み切るのかを事前に決めておくと、実際にその時になった際に売却の決断がスムーズにできるでしょう。

 

「売却時の手残りキャッシュ」のポイント
売却時の手残りキャッシュとは、簡単に言えば収益不動産を実際に売却した後に、投資家の手元に残っているお金のことを言います。

 

例えば、1万円の商品を2万円で売れば、2万円の現金が手残りキャッシュとなります。ただ、不動産投資の場合は、一般の商品の売買とは違い、手残りキャッシュを計算するためには、以下の2点を売却によって得た代金から差し引く必要があります。

 

1:残債務(借入金残高)
ローンを組んで購入している不動産を売却する際には、必ず残りの借入金を売買代金で完済しなければなりません。

 

2:税金
不動産を売却して譲渡所得が発生すると、不動産の所有期間に応じて短期譲渡所得もしくは長期譲渡所得のいずれかの税金が課税されます。なお、この際課税対象となるのは、売却価格そのものではなく、売却価格から決算上の簿価を差し引いた価額となります。(つまり減価償却後の価額)

 

これらをまとめると、売却時の手残りキャッシュは以下の計算式で求めることができます。

 

【売却価格?借入金残高?税金=手残りキャッシュ】

 

手残りキャッシュをシミュレーションする際に最も難しいのが「売却価格」です。

 

将来の売却価格については、その時の不動産の状態、周辺環境、経済情勢などによって微妙に変わってくるため、事前に正確に予測することは非常に困難となります。

 

また、収益不動産の場合は、売却価格が利回りベースで決まってくるため、この際の参考利回りが、物件の築年数が古くなるにつれて、高い利回りが求められるようになるため、古くなればなるほど、売却価格は下げざるを得ないのが現状です。

 

このように、考慮しなければならない要素が多いため、手っ取り早い方法としては、ネットなどで今現在において、同じくらいの広さの物件がいくらで売りに出されているのかを、築年数別にまとめてみると良いでしょう。

 

また、ネットの情報はあくまで「募集額」であり成約価格ではないため、参考にする場合はネット上の価格よりも若干厳しく査定するよう心がけましょう。

 

2種類の投資シミュレーションを総合して考える
そして最後に、この「税引き後キャッシュフロー」と「売却時のキャッシュ」の両方を考慮し、キャッシュの積み上げが最大限になるタイミングをシミュレーションから導き出せれば、その時こそがまさに「売り時」ということになるのです。

 

投資シミュレーションは手間がかかる上に地味な作業のため、ここをおろそかにしてしまう投資家が大勢いるようですが、投資シミュレーションができないと、正確な「売り時」は絶対に分かりません。

 

売り時を勘に頼るのではなく、「投資シミュレーション」という確たる資料を基に決断することが、不動産投資で成功するために最も必要なことなのです。

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