収益不動産の売却価格の決まり方について

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収益不動産の売却価格はどのように決まるのか

収益不動産を売却する際には、まずはいくらで売却するのかその「価格」を設定しなければなりません。では、売却価格を設定する時は、何を基準にその金額を決めれば良いのでしょうか。詳しく解説していきたいと思います。

 

一括査定の活用とその「落とし穴」とは
収益不動産の売却価格を決める際に、まず参考にしたいのが「一括査定」です。一括査定とは、不動産売却サイトなどで自身の所有している物件の築年数や構造、家賃などを入力して送信すると、そのサイトに加盟している不動産会社に対して、一括で査定を依頼することができるシステムです。

 

一括査定のシステムができるまでは、いちいち個別に不動産会社を回らなければ、複数の会社に価格査定を出してもらうことができなかったのですが、この一括査定を利用すれば、ワンタッチでかなりの件数の不動産会社に査定をしてもらうことができるため、非常に大きなメリットをもたらしてくれました。

 

ただ、その反面一括査定の場合は査定金額にかなりブレが生じることを覚悟しなければなりません。まず、不動産会社が査定をする際には、積算評価と収益還元評価をしてくるとことが多いのですが、これが会社によってかなり異なってきます。

 

収益物件の場合は、大手不動産会社であれば比較的低めに査定されることが多く、反対に中小企業や収益不動産を専門に取り扱っているような会社の場合は、市場の取引相場を基準に査定し、それよりも気持ち高めに提示してくることが多いようです。

 

では、なぜそんなに査定価格にズレが生じてくるのでしょうか。

 

収益不動産の価格査定は、私たちが考えているよりも実はもっと「単純」
不動産の価格査定というと、不動産の現地をまずは確認して、建物の維持修繕状況やリフォーム状況などを細かく検査したうえで専門家が査定していると想像するかもしれませんが、実際そのようなことをして収益不動産の査定をすることは非常に稀です。

 

特に、都内のワンルーム区分マンションのような、完全に収益に特化した不動産の場合、実物の室内を確認して査定することはまずありません。時々、価格査定を依頼した人が、「うちは、キッチンをIHコンロにリフォームして、トイレにウォシュレットもつけたんです!」なんて自慢げにアピールしているケースなどもありますが、実際、これらの事情はほとんど価格査定に影響してきません。

 

収益不動産の場合、売却価格の査定に影響を与えるポイントは、主に次の3点と言ってよいでしょう。

 

売却価格査定に影響を与えるポイント@:利回り
収益不動産の場合、ほぼこの「利回り」によってその価格が決まると言っても過言ではありません。

 

つまり、今年間でいくらの収益を上げているのか、という点が売却価格を査定する上で、とても重要となってくるのです。特に、築10年程度の物件であれば、概ね利回り計算をすれば、売却価格を割り出すことができます。

 

例えば、最近で言えばワンルーム区分マンションなどの場合、利回り5?6%程度が価格査定の一つの基準となってきています。仮に年間収益200万円の収益不動産の場合、およそ3,333万円で利回り6%となるため、このあたりが査定額の基準となります。

 

また、この際の年間収益については、管理費や修繕積立金などの必要経費を差し引いた「実質利回り」で計算することがとても重要です。仮に、高い家賃収入があっても、それ以外の固定費が高い場合は、査定額は下がることになります。

 

さらに、この原理で考えると、区分マンションの場合、同じマンション内でも部屋によって査定額にばらつきが生じてきます。

 

例えば、新築時と同じ高い家賃で10年間住み続けている部屋と、最近空室になり家賃を大幅に下げて入居した部屋とでは、売却価格の査定においても利回りが異なってくるため、査定額もそれにあわせて変わってくることになります。

 

ですので、相場よりも割高な家賃で住んでいる場合は、売却価格も高くなる傾向にあるので売却するタイミングを考える際、参考にすると良いでしょう。

 

売却価格査定に影響を与えるポイントA:金融機関
価格査定というのは、その物件にいくらの価値があるのか、ということを客観的に分析するというよりは、その不動産会社の力で「いくらなら売ることができるのか」という、非常にその不動産会社の主観的な事情が大きく影響します。

 

そしてその中の最も大きな要素が「金融機関」です。すなわち、その不動産会社が買主を見つけてきた場合に、実際に融資することになる金融機関のことを言います。金融機関で評価の出やすい物件は、積算評価と呼ばれ、建物と土地の価値を積み上げて計算する方法ですが、この評価が高い方が融資が多くでます。

 

つまり、金融機関の評価の出やすい物件の方が、評価が高くなるため、高く買ってくれる人が多く出やすいので価格も高く設定できるのです。もし、銀行の評価の低い物件であれば、現金で買えるか、資産家の方でないと融資がでないため、売却価格を低く設定しないと売れないことになります。

 

金融機関ごとに独自の審査基準があるため、正確に銀行評価の価格を知ることはできませんが、不動産投資のマーケットでは、有名な銀行があります。スルガ銀行をはじめとする収益不動産に積極的な銀行をベンチマークとすると良いでしょう。

 

売却価格査定に影響を与えるポイントB:築年数と構造
3つ目の要素が築年数と構造です。これは、金融機関と密接な関係にあるのですが、金融機関が評価しやすい物件というのは、法定耐用年数から経過年数を引いた残りの年数が長いことが重要になります。

 

なぜかというと、買主が融資を受ける際に、長い期間融資を受けられるかがとても重要な要素となってくるためです。そのため、構造も法定耐用年数の長いRC造などが高く売れやすく、法定耐用年数の短い木造は中古になると高く売りにくいといったことが起きます。

 

つまり、収益不動産の売却価格査定というのは、「いくらで売れるのか」ではなく「いくらなら買ってもらえるのか」がポイントになります。

 

 

高く売るには、自分で判断できるだけの「知識」が不可欠
このように、不動産会社の価格査定は、非常に参考にはなるものの、決定打となるほど正確なものでもありません。

 

なぜなら、不動産会社の査定額には必ずなんらかの「思惑」が含まれている価格だからです。低めの査定にして早めに売却できるようにしたいとか、そもそも収益不動産になれていないので、収益還元評価をせずに、土地値で売ろうとする業者もいます。

 

これらの要素を除いて、客観的な視点で見抜いて、マーケットで適切な売却していくためには、他の誰でもない投資家自身の「知識」が必要不可欠です。

 

価格査定を業者任せにせず、自分自身でもネットなどで売却価格の相場などを良く調べるよう習慣づけましょう。

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