高く売るための戦術:融資の出る金融機関の動向を確認する
収益不動産を1円でも高く売るために重要な事は、まず「買主」の立場になって考える事です。不動産売買は、売主と買主双方の考えが合致しなければ、売買が成立しません。
つまり、自身の所有する収益不動産がマックスでいくらなら売れるのかを知るためには、まずはあなた自身が「買主」の目線になる必要があるのです。
銀行融資が高値で売れるかどうかの判断基準となる
仮に収益不動産を「買う」場合は、レバレッジを効かせるためにも基本的には銀行から融資を受けて買うでしょう。実際、収益不動産の買主のほとんどは、銀行融資利用者です。
ということは、銀行が買主にどの程度の融資をしてくれるのかがわかれば、そこから逆算することで売買価格のマックス値がわかるのです。
銀行がいくらの融資を買主にするかは、買主自身の属性にもよりますが、その収益不動産自体の担保価値についても、融資額に大きな影響を及ぼします。そこで、ここでは物件の構造別にその融資のポイントについて解説します。
1:鉄筋コンクリート、鉄骨増の場合
この場合は、耐用年数が比較的長いため、物件の状況次第では中古物件でも長期の融資がつく可能性があります。なお、融資に積極的なスルガ銀行の融資基準などがわかれば最も参考になるでしょう。
2:木造、軽量鉄骨の場合
この場合は、耐用年数が非常に短いため長期の融資は難しくなります。また、建物自体には評価を付けないという金融機関も多いため、基本的には「土地値」をベースとして融資額を考える事になります。
このケースでは、SBJ銀行、三井住友トラスト&ローン、その他信販系の金融機関でどの程度の融資がつくかを想定するのが良いでしょう。
1億を超えるような木造・軽量鉄骨物件の場合は、通常の銀行では、なかなか融資が伸びないことが多いので、儲かっている法人や不動産業者向けに販売することになり、高く売るのが難しいゾーンとなります。
返済比率について
銀行が買主に融資する際の「返済比率」については、概ね60%程度が目安とされています。そのため、そこから導き出される売買価格のマックス値は、返済率65%程度の水準で購入できる金額という事になります。(※注意点:自分が購入する場合の返済比率は50%未満)
ポイントは、通常の返済比率に多少上乗せすることです。そのままの金額だと、ものによっては割安な価格となってしまうこともありますし、買主から価格交渉をされる可能性もあります。ですから、基準となる金額よりも若干上乗せした金額で募集するのが良いでしょう。
このように、あなたが売ろうとする収益不動産を買おうとした場合に、銀行がどのような条件で買主に融資をしてくれるのかを考える事で、自ずとその物件の売買価格のマックス値が分かるのです。
金融機関の情報の集め方とは
では、個別の金融機関の融資に関する情報をどのようにして集めれば良いのでしょうか。
こういったことを金融機関の窓口で直接聞いても、基本的には教えてもらえません。また、融資に関するディープな情報については、ネット上にもあまり出てこないため、情報を収集することが多少難しくなります。
最も良い方法は、不動産投資家が主催するコミュニティやセミナーに積極的に参加して、そこで情報を拾う事です。このような実務的な情報については、実際に不動産投資をやっている人からでないと、正確なところがわかりません。
そこで、まずはそういったコミュニティに積極的に参加し、そこでさらに人脈を増やしていく事で、重要な情報を入手することができるようになります。
とてもアナログな方法に感じるかもしれませんが、こうした金融機関の融資に関する情報は、不動産投資家としても「情報資産」であるため、顔も知らないような人には教えたくないものなのです。
ですから、本当に重要な情報については、多少手間がかかるとしても、根気よく人脈を増やして情報を収集するよう心がけましょう。こうした地道な努力の積み重ねが、収益不動産を高く売ることに結びつくのです。
そして、一番重要なのは、融資の条件が出る銀行を抑えている不動産業者と組んで売却活動をすることが近道になります。
※高値売却に関しての相談は、問い合わせしてみてください。
まとめ
・「融資が出る物件ほど高く売れる」ということ
・融資が出やすいということ=「初心者投資家」にも売れるということ
・初心者投資家はほぼ間違いなくベテランの投資家よりも高値でも買ってくれること
・将来的に高値で売却をしたい場合、購入する際に銀行からの融資がつきやすい物件を見極めること
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