次の失敗事例は、4.5%という高い金利で融資を受け、かつ、札幌という今や賃貸激選区となった地域の物件に投資して失敗したケースです。
【購入条件】
・札幌鉄骨造物件:価格1億3000万円 利回り8.6%
・平成3年築 鉄骨造 1K30部屋?満室年間収入 1118万円
・30年融資、金利4.5%
札幌というエリアは、現在賃貸激選区と化していますので、そこで金利4.5%という高金利で投資することは、もはやリスクしかありません。金利が高いと一番ネックになってくるのが、収益に対する「返済比率」です。この物件の場合、1年目の返済額から790万円と非常に額が大きくなってしまうため、返済比率が70%を超えてしまいます。
つまり、収入のうち7割は返済に充てられてしまうということなのです。これは不動産投資において非常に厳しい状況を意味しています。さらに問題なのは、これが購入1年目であることです。
激選区の札幌の物件に投資をしているわけですから、築年数が経過していけば、家賃の下落や空室といったリスクが追い打ちをかけるため、この70%という返済比率はさらに悪化していくのです。またこの物件は中古鉄骨造ですから、購入後10年目くらいから減価償却費についても計上できなくなります。
そうなると、帳簿上は利益が出るようになり、税金がかかり始めますが、キャッシュフローはほぼ赤字状態のため、手元の資金はどんどん減っていきます。
それなら売ろうと考えますが、買う側に対するローンは、最大でも法定耐用年数までしかつきません。この物件で言えば、最大でも15年程度しか融資がつかないため、よほど安く売らない限り買う側にとってメリットはなく、売るに売れないという最悪のシナリオが待っているのです。
この事例、結果的には、地方とはいえ札幌だったことで何とか早い段階で売り抜けることができましたが、もしも売れなかったら、自己破産も覚悟しなくてはならない物件だったと言えます。
なお、不動産業者の多くは、購入後1年目のキャッシュフローについては、ある程度丁寧に説明してくれます。ただ、減価償却がなくなって税金がかかり始めるあたりのキャッシュフローのことについては、事前に一切教えてくれません。これは、不動産業者が投資家を騙しているわけではなく、そこまでの税務知識のある不動産業者がいないからです。
不動産投資に失敗しないためには、この部分について、自分自身でシミュレーションしてリスクヘッジしなければならないのです。
【数字で見極める際のポイント】
返済比率が50%を超えると失敗する可能性が高い
札幌など、地方の激戦区は、投資する場合は稼働率の悪化を織り込む