投資用物件の上昇下落は金融緩和次第である

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前章で、空室率増加と供給過多による賃貸経営の厳しさを説明しましたが、それにもかかわらず、不動産価格は上昇したままになっています。これは一体どういうことなのでしょうか?需要があるから不動産価格が上がる、と考えがちですが、実は、賃貸需給と不動産価格の上昇には、あまり関連性がないのです。

 

2012年に発表されたアベノミクスによる金融緩和政策が現在も続いています。金融緩和をすれば、日本銀行は市場にどんどんお金が流通するよう、大量にお金を発行します。そのお金は民間銀行にも流通するため、金利が下がり、誰もが融資を受けやすくなります。つまり、自己資金が少ない人でも、不動産を購入することができるのです。

 

不動産投資を始めようとする方にとって、金融緩和政策は一見メリットしかないように思えますが、その裏に、不動産価格の上昇というリスクをはらんでいます。

 

資金が潤沢な企業や資産家は勿論、資金の少ない不動産投資初心者も、低金利で多額の融資を受けられる可能性が高くなるということは、多くの人が不動産を買えるということになるため、不動産市場が活性化され、それによって価格が上昇するのです。

 

空室率が高いにもかかわらず、不動産価格が上昇しているのですから、この仕組みを知らないで、「融資が下りて低金利で物件を手にすることができた!」と喜ぶのは早計だということがご理解いただけるかと思います。「今が買い時だ!」という不動産投資初心者の判断は、往々にして高値掴みとなってしまうのです。

 

また、不動産投資をする上で、価格と同じくらい重要な要素が「利回り」です。

 

2011年12月からの、表面利回りの表を見てみると、一棟アパートも一棟マンションも、緩やかではありますが、着実に利回りが減少していることがわかります。2016年5月から2017年5月までの利回りの推移の表を見てみると、わずか1年の間に、一棟アパートも一棟マンションも区分マンションも、多少の増減を繰り返しながらも、減少の一途を辿っています。特に、区分マンションの利回りは、急激といっていいほどの減少を見せており、2016年5月には7.79%だった利回りが、2017年5月には6.96%まで下落しています。

 

つまり、高値で不動産投資用の物件を手に入れても、利回りは低く、旨みは少ないということなのです。2019年以降は、利回りは上昇していくことが予想されます。それに加えて、賃貸経営の厳しさは前章で述べた通りであり、予想していた額の家賃収入が得られず、空室が続くリスクもあるとなれば、事前に何らかの対策が必要だということは明らかでしょう。

 

また、現在は、金融緩和政策をとっている日本銀行ですが、いつ金融引き締めの方向に転換するかはわかりません。金融を引き締めとなると、今度は物件の価格は下落していくでしょう。そうなると、投資目的でマンションやアパートを購入していた富裕層が、一斉にそれらを手放すという事態が起こり、不動産価格は下落どころか暴落する可能性もあるのです。高値で買った物件の価格が値下がりしてしまったら、取り返しのつかない損をしてしまうことになるでしょう。

 

不動産投資の初心者でもフルローンが引けたのは、金融緩和が大きく影響しているからであり、徐々に厳しくなっている今は物件が安くなる時期であるという認識を持ちましょう。

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