減価償却経過後のキャッシュフローは急減する

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築古物件は、表面利回りが高いため購入を考えている投資家も多いのですが、築古物件の本質的なキャッシュフロー構造を理解していないと、思わぬ失敗を招いてしまいます。

 

例えば、下記のような物件です。

 

? 埼玉 アパート物件:価格4000万円、利回り12%(家賃年収 480万円)
 土地:2000万円、建物:2000万円
? 昭和55年築 木造 1K 12部屋?
? 公庫 15年融資、金利2.2%

 

築年数が古い物件は、短期間で減価償却ができる点です。例えば今回の事例でいうと、4年で減価償却ができるため、短期間に多くの減価償却費を計上できます。この性質をうまく活用して、利益が出ている企業の節税対策に利用されることもよくあります。

 

ただ、裏を返すと4年目以降は一気に経費がなくなるため、帳簿上突然多くの利益が発生することとなり、その結果非常に重い税負担が発生してしまうのです。

 

・耐用年数超の木造の減価償却年数:4年

 

・上記事例だと、建物が2000万円のため、毎期500万円ずつ経費にできる。
 家賃収入が480万円ですから、減価償却のみで赤字に転落するので税金は一切かからない。
 つまり、4年間は、「売上-経費(減価償却除く)-返済=キャッシュフロー」が手元に残る

 

・しかし、5年目からは、減価償却が一切なくなるので、

 

 「売上-経費(減価償却除く)-返済=キャッシュフローに加え、税金が引かれる

 

この事例では、購入後4年目までは、減価償却費のおかげで税金はかからず、毎年40万円のキャッシュの手残りがありましたので、投資を開始した当初は非常に安定したキャッシュフローとなり、投資家自身に油断が生じます。ところが、5年目でいきなりそれまで0円だった税金が、減価償却がなくなって帳簿上一気に利益が出たことで、70万円を課税されてしまったのです。

 

また、これに追い打ちをかけたのが、築年数と元利金です。減価償却がなくなる5年目の時点で、すでに築年数としては36年が経過しているため、稼働率については85%に落ち込みました。さらに元利金についても減っていることもあり、5年目からはどうあがいても利益が出るキャッシュフロー構造になっているのです。

 

このように手元にキャッシュフローが残らなくなると、税金をそれまでの貯蓄分で補わなければならず、それでも足りなければ自分の給料などから充当するしかありません。これではもはやセミリタイアや不労所得どころではありません。

 

中古の木造アパートは最短で4年で減価償却が終わってしまうため、長期譲渡となる6年目で売り抜けるか、さらに新しい物件を調達して経費を捻出するといった投資計画をあらかじめ立てておく必要があるでしょう。

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