賃貸需給は長期的に悪化する

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2020年開催の東京オリンピックに向けて景気は上昇し続け、賃貸需要も増える一方だから、今が不動産投資のチャンスである、などと不動産投資会社の広告で盛んに謳われていますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

 

確かに、東京オリンピックに向けて、東京都心部の人口は増加するだろうと言われており、また、これからは単身世帯者が増えると予想されていることから、それに伴い世帯数も増えると考えられます。人口も世帯数も増えるということは、マンションやアパートの賃貸需要も増えるだろう、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、そんなに単純な問題ではありません。

 

オリンピック需要もそうですが、それに加えて2015年1月から、相続税の基礎控除額が引き下げられたこともあり、相続税対策としても不動産投資は大変人気があります。

 

例えば、相続税を計算する際に、1億円の現金は、そのまま資産1億円として評価されますが、1億円をマンションやアパートなどの不動産に組み換えして、さらにそれを第三者に賃貸すると、相続税評価額は大きく下がるため、現金を相続するよりも、支払う相続税が少なくてすみ、これが効果的な節税になるのです。

 

そのため、東京の湾岸エリアをはじめ、各地に相続税対策の需要を見込んだタワーマンションが次々と建設されています。需要と供給のバランスが取れていれば、この節税対策による建設ラッシュは問題ないのですが、現実はすでに供給過多の状態です。

 

2017年3月期賃貸住宅指標を見ていただくとわかるように、1都3県のアパート系(木造、軽量鉄骨)の空室率は2015年7月を境に右肩上がりとなっています。また、RC造、SRC造の空室率についても、概ね2016年1月を境に上昇しはじめ、2017年1月期には、1都3県ほぼ全ての空室率が増加しているのがわかります。今後、東京オリンピックの選手村予定地である晴海地区を中心に、新築マンションやアパートが次々と建設される可能性が濃厚であるにも関わらず、もう既に空室率が上昇している状況なのです。

 

また、2017年3月期賃貸住宅指標も合わせて見てみると、どの都道府県でも、更新確率は50%を大きく割り込んでいます。また、中途解約確率はどの都道府県も5割近く、大阪、兵庫、愛知といった比較的人口の多い都市で5割を上回っている状況です。

 

このことから、せっかく入居者が見つかっても、6割〜7割が賃貸借契約期間(通常は2年契約が主流)を終えると更新せずに退去してしまい、また、半数近くが賃貸借契約期間満了を待たずして解約してしまうということがわかります。

 

さらに、募集期間を見ると、東京都ですら約3ヵ月近くの期間を要し、ほかの都道府県ではそれ以上に長くなります。つまり、せっかく賃貸借契約を結んでも、借主は長く居着かず、募集期間という賃料の入ってこない「無収入」の状態が長くなるということです。入居者が決まらず、賃料が入って来ないのは、不動産賃貸経営をするうえで大問題です。

 

 

そうなると、
「空室が続くよりは・・・」
と、賃料の値下げを決断する投資家が必然的に増えてきます。いくら「値下げはしたくない!」と思っていても、周辺の不動産の賃料が値下がりした場合は、賃料の高い部屋はどうしても不利になるので、値下げせざるを得ません。当初に予測していた賃料収入が得られず、値下げを余儀なくされ、それでも入居者はなかなか見つからず、「賃料収入により悠々自適な生活を」とセミリタイアを夢見て始めた不動産経営のはずが、毎月のように「赤字」が出てしまい、どんどん借金だけが増えていく。

 

実は、今、この「負のスパイラル」に陥ってしまっている初心者投資家の方がとても増えているのです。
不動産投資で失敗しないためには、まず現在の厳しい賃貸需給状況をきちんと把握して、それに向けた対策を講じることが、なにより重要であると心得ておきましょう。

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