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海外不動産での減価償却はお勧めしない

海外不動産を活用して節税をしようと考える方も多いですが、それほどお勧めできる方法とは言えません。簡単にいえば、複雑なのと海外の法制度に依存することになるからです。
それでは、まず海外不動産投資でメリットを出すにはどのようなことが満たされていないといけないかから見ていきましょう。

 

海外不動産投資で節税のメリットを出すには
考え方としては、築古土地値投資をイメージしてください。

 

@不動産投資の利回りが高く、賃貸収入から経費(利息を含む)で利益が出せること
A日本の法定耐用年数を超えていて、利用価値があること
B日本の法定耐用年数を超えていても、売却するときに、投資額を回収できること
C建物の割合を高くできること

 

海外の不動産は日本のように耐用年数が短くなく、中古になっても価格が下がらない国が多くあります。それを利用して、日本の耐用年数(木造であれば22年)を超えている利回りの高いものを選別すれば、減価償却を4年で落とせるメリットがあります。

 

また、海外は、収益還元で評価する国が多く、収益の根源となる建物に価値を認めてくれます。日本のように一気に建物価値が落ちていくということがないため、中古になっても価値が下がりません。ここまでは、築古土地値投資に似た考え方になります。

 

そして、海外不動産投資では下記条件が必要になってきます。

 

D投資対象となる国の税率(所得税等)が低いこと
E投資対象となる国の物件に低利で融資が受けられること

 

所得税が高いと、せっかく日本の不動産所得は減価償却を短期間で償却し節税できても、投資対象国で税金が多く取られていたら、節税の効果が得られないからです。法人・個人とも実効税率を下げることに意味がありますが、投資対象国で税率が高ければ、節税としては意味がありません。

 

次に、投資対象国で低利で融資が受けられるかというとほとんどそのような融資はありません。日本の低利な融資とは異なり、5%以上の高金利であったり、融資額が物件の5割や多くても8割くらいが限界となります。そのため、高額の物件を購入するのは、富裕層となります。

 

アメリカの不動産について
アメリカの不動産投資は、人気があります。世界で最も大きな経済力があり、人口の流入もあり、人口が拡大しています。また、日本と違い、土地よりも収益を生む建物を大事にする文化があり、築50年を超えた木造物件もきちんと売買されています。制度が整備され、中古市場が活発にある市場となっています。

 

先ほどの@~Eの中でどこを満たしているかといいますと、
@:△ 人気がありますので、高利回りを期待することはできません。デトロイトのような治安が悪く、人口が激減し空室が高いエリアでは高利回りもありますが、ここは当方も失敗しましたが、とても難しい運営となることは承知してください。

 

A:◎ アメリカは、利用価値を高く評価しますので、築年数が経ってもメンテナンスがされている物件については建物価値をきちんと評価します

 

B:〇 物件によってケースバイケースですが、比較的投資額を回収しやすいマーケットでしょう。

 

C:◎ 土地より収益を生み出す建物に価値を置きますので、建物割合は高くなります

 

D:△ × 源泉徴収を行う場合は30%。源泉徴収を行わず申告する場合は所得に応じて10~40%程度が適用されます。アメリカの建物の耐用年数は新築と中古に関わらず27.5年で定額法しか認められていません。つまり、アメリカでは利益が出やすくなるため、日本の税率として比較して安くなるかどうかはわかりません。

 

E:△ 金利は景気や時代に左右されますのでいつの時点を取るかに変わりますが、アメリカではアパートであれば、通常は4戸以内の物件までしか融資がでません。5戸以上になる商業ローンになり、さらに融資審査が厳しくなり、いわゆるサラリーマン投資家では難しく、アメリカで個人・法人の格付けが高くなければ無理でしょう。融資金額もフルローンはでなく、最大でも8割程度が限界となります。

 

アメリカで不動産投資をされている方もたくさん知っていますし、面白いとも思います。どちらかというと日本円での資産形成からグローバルでの資産形成を目指している人には良い投資でしょう。節税目的に購入する方はあまり見ません。

 

というのも、英語が話せる事、英語の契約書を読みこなせる力があること、日本とアメリカでの税率の実効税率を正しく理解しタックスコントロールができること、運営において現地のアメリカ人を使いこなせること、アメリカで税理士を雇い申告すること、アメリカで申告した結果を日本の確定申告に反映すること、といった日本の不動産投資とは異なるスキルが必要となるからです。

 

これだけ、面倒なことがたくさんあってもアメリカの不動産投資をするのであれば、節税以外の目的をもってトライすることをお勧めします。

 

その他の国について
・モナコ:富裕層以外そもそも買えない
タックスヘイブンの国であるモナコでは、所得税がかからないこと、転売するときにも投資額が回収しやすいといったメリットがあって勧める人もいますが、モナコの利回りは3%未満が大半でそもそもの物件価格が東京の数倍も高く購入できる人は、富裕層しかできません。

 

また、購入するときには、付加価値税が物件価格の20%程度取られることからも、容易に手が出せません。大金持ちになったときに、資産分散として取り組むのがいいでしょう。モナコのメリットは、配偶者・子供への相続税がかかりませんので相続対策では有効かと思います。

 

・シンガポール:富裕層以外そもそも買えない
シンガポールもタックスヘイブンで所得税が最大でも20%であり、キャピタルゲイン課税はありません。値上がりする不動産を購入すると利益が出やすい制度になっています。但し、シンガポールは人気があるため、利回りは低く、物件価格も東京よりもかなり高い水準になっています。

 

そのため、シンガポールで不動産投資を始めることが富裕層以外なかなかできません。また、不動産市場が過熱していることから、購入時の印紙代が物件価格の18%程度となり、経費が割高になっています。短期譲渡の税率も上げてきていますので、気軽に手が出ない水準です。モナコと同様、グローバルな資産形成ができる富裕層に限られた投資となります。

 

・中国、タイ、カンボジア等のアジア不動産
ひとくくりにできるわけではありませんが、いくつか注意する点は同じかと思います。まずは、不動産の売買に関わる制度が先進国より遅れていること、所有権ではなく利用権しか持てない不動産が多い、中古市場が発達していない、など安全な投資ができる環境が整っていないと言わざるを得ません。

 

また、プレビルドで建築が完了するまでに転売して利益を出している方もいますが、危険と隣合わせです。日本の投資家に販売するようなプレビルドの案件は、現地の人が借りることのできない賃料水準の部屋で多くは駐在員向けとなります。そうなると完成後、景気が悪くなっていたりすると賃貸人がほとんどつかなくなってしまい、購入価格を大幅に下げないと転売できず大損しているケースもあります。

 

海外の不動産投資は、制度面が整っている先進国で行うのが王道ですので、それ以外の国で行う投資は、精通していない限り、どんなにおいしそうな投資案件に見えても見送りした方がいいでしょう。

 

まとめ
海外不動産投資は、資産形成のひとつとしては面白い方法です。始めるのであれば先進国で始めましょう。但し、先進国で不動産投資といっても節税目的に購入するものではないと考えています。それだけの労力にみあう投資ではないからです。

 

グローバルな資産形成を行える富裕層で海外の不動産に精通しているプロを雇える方向きとみています。富裕層以外の資産形成としては、通貨でも持つ方が良いでしょう。

 

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