水や湿気に弱い地下室のある収益不動産のチェック

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地下室が付いている物件は、ロフト付き物件と同じように居住空間を有効利用することができるため、募集の仕方次第では人気物件になる可能性を秘めています。また、傾斜地などに建っているマンションなどについては、1階部分が地下になっているケースも少なくありません。

 

地下室は地上に出ている部屋とは違い、メリットもあればデメリットもあるため、事前によく理解しておくことが重要です。

 

地下室の基準とは

 

建築基準法における地下室とは、次の要件に該当するもののことをいいます。

 

・床が地盤面よりも下にある
・床面から地盤面までの高さが、その階の高さの1/3以上

 

天井部分が地盤面から1m以下にある部分については、建築面積に算入されません。また、建物全体の住宅部分の延床面積の1/3まで容積率の計算から除外することができます。

 

例えば、100uで容積率が80%だとした場合、延床面積80uが上限となりますが、上記要件を満たしている地下室であれば、地上部分で80u使ったとしても、さらに40uの地下室を作ることができるのです。

 

地下室のメリット

 

地下室は周囲が自然地盤で覆われているため、地上階と比較すると防振、防音性能が高く、外部に音や振動が漏れにくいという特長があります。子供のためのキッズルームや録音スタジオ、シアタールーム、ダンスルーム、ジムなど地上階では実現することが難しいスペースを作ることができます。

 

また、地下室の温度は地上階よりも安定しているため、年間を通してエアコンが必要ありません。

 

地下室のデメリット

 

温度管理のしやすい地下室ですが、一方で管理が難しいのが「湿度」です。特に、湿度が高くなる夏場については、暑い外気と夏涼しい地下室の内気の温度差が生じることから、結露(壁の表面に水滴が付着する状態)が発生しやすくなります。

 

結露を放置すると、サッシ周りや壁紙にカビが生えてくる原因となるため、結露を防ぐための対策が必要です。地下室については、一定の換気設備が必要になるとともに、ある程度の日当たりや風通しを確保するために、「ドライエリア」といわれる空掘りが必要とされています。

 

地下室の四方が隙間なく自然地盤に囲まれてしまうと、室内に湿気がこもりやすくなってしまうため、地下室の側面の地盤を空掘りすることで、地下室と地面の間にスペースを確保し、日当たりを確保するとともに、湿気を外に逃がす必要があります。

 

このスペースのことを「ドライエリア」といい、地下室を居室として利用するためには、ドライエリアの設置が必要です。投資用マンションの場合、1階部分が地下になっている物件をときどき目にしますが、ドライエリアの部分を1階部分のベランダとしているケースがよくあります。

 

ドライエリアとそこに面したベランダ(開口部)が確保されていることで、地下でも一定の通風と採光を確保できるのです。また、地下室については万が一火災が発生した際に、地上への通路が煙や炎で塞がれてしまう可能性があることからも、ドライエリアを設置することで、建物内部の通路を使わなくても避難できます。

 

ドライエリアの設置基準については、自治体の条例によっても異なりますので、購入予定の物件に地下室が完備されている場合は、ドライエリアの技術的基準を満たしているかどうか確認しておきましょう。

 

浸水対策

 

昨今は異常気象により、1時間に100ミリ規模のゲリラ豪雨が発生することも珍しくないため、地下室への浸水対策は徹底して行われている必要があります。

 

購入を検討している物件に地下室があったり、1階の居室が地面よりも下にあったりする場合については、次の点について購入前に必ず確認しておきましょう。大量の雨水は、高い所から低いところに向かって流れていくため、雨が降った際に雨水がどういう経路で流れていくかを確認することが重要です。

 

建物自体が周囲よりも高い位置に建っていればよいのですが、坂の途中や坂下にある物件については、雨水が建物内に流入してくる可能性が考えられます。できれば、雨が降った日に現地を見学して、雨水がどのように流れているか目視で確認すると確実です。

 

手すり壁

 

道路から地下室への雨水の流入を防ぐ手すり壁の高さも重要なポイントです。
ドライエリアから立ち上がっている手すり壁に十分な高さがないと、手すり壁を乗り越えて雨水がドライエリアに流入してくる可能性があります。

 

古い物件の場合、手すり壁自体がないこともありますので十分注意しましょう。

 

ハザードマップ

 

物件の所在地を管轄している市区町村役場のホームページを検索することで、地域のハザードマップを閲覧することができます。ハザードマップを見ると、過去の浸水状況をもとに、大雨や台風が来た際に、床上、床下浸水の可能性がある地域が色付けされていますので、浸水リスクの重要な指標となるのです。

 

過去に浸水したことがある地域や、近くに川が流れている地域で地下室の物件に投資することはかなりのリスクを伴いますので、できるだけ避けましょう。

 

地下室物件の賃貸募集におけるネック

 

賃貸マンションで地下の居室を賃貸として募集する場合、一番ネックとなるのが「日当たり」です。ドライエリアで採光を確保したとしても、地上階に比べて室内が暗くなるのは間違いありません。

 

また、風通しが悪く湿気がこもりやすいことから、ドライエリアに蜘蛛の巣が張ってしまうこともよくあります。お客さんが内見に来た際に、室内が暗いとどうしても印象が悪くなってしまいます。

 

そこで、地下の居室については、できるだけ明るいタイプのLED照明を設置し、床材についても深みのある色合いではなく、白を基調とした明るいタイプのフローリングやフロアタイル、またはクッションフロアにすると、地下室独特の暗い雰囲気を払拭することが可能です。

 

また、ベランダについては蜘蛛の巣が張らないよう、次の入居者が決まるまではこまめに清掃を実施しつつ、防虫剤などを使用するとよいでしょう。

 

 

まとめ

 

不動産投資において、地下室がある物件については、通常よりも多くのスペースが確保できるため、収益力アップにつながる可能性があります。

 

しかし、通風、採光、湿気などについて様々な改善が必要になるため、初心者投資家にとってはハードルが高い物件と言わざるを得ません。不動産投資初心者の方については、できれば地下室のある物件への投資は慎重にご検討し、少しでも不安があれば見送ることをおすすめします。

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