不動産投資で買ってはいけない界壁なし物件など

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前回の記事で、違反建築物が意外に多いことがお分かりいただけたかと思いますが、実は他にもまだまだ違反建築の事例があります。

 

界壁に関する違反

 

界壁といえば、レオパレス問題がありましたが、実は界壁に関する違反は決して珍しいわけではありません。そもそも界壁とは、アパートの隣の部屋との境界になる壁のことで、小屋裏か天井裏まで達するように界壁を設置することと建築基準法で定められています。

 

界壁は隣の部屋からの音漏れを防ぐ「遮音性能」と、火災の際の「防火性能」が求められているとても重要な部分です。

 

違反の傾向

 

界壁に関する違反としては、次のいずれかの傾向があります。

 

・界壁自体が作られていない
・界壁に隙間が多い
・界壁の厚みが薄い
・界壁の素材が基準を満たしていない

 

界壁は物件が完成すると壁を壊したり、天井裏に入ったりしなければ施工状況がわからないため、建築確認申請当時の建築図面とは違うやり方で手抜き工事されていることがあるのです。

 

是正工事には多額の費用がかかる

 

界壁に関する違反については、是正に多額の費用がかかるため、絶対に買ってはいけません。

 

界壁の是正工事をするためには、天井の一部を解体した上で界壁を作らなければならないため、賃借人には一旦退去してもらうか、一定期間ホテルに仮住まいしてもらう必要があります。

 

多額の施工費にプラスして、賃借人の立退料や宿泊料金まで負担しなければならないため、投資として成り立たないでしょう。

 

違法な界壁を見破る方法

 

界壁については、物件の外観や内装を目視しただけではわかりません。かといって、壁の一部を壊して確認することもできないため、非常に確認がしにくい部分ですが、1つだけ簡単に界壁を目視で確認する方法があります。

 

それは「ユニットバスの点検口」です。

 

賃貸物件の多くに用いられているユニットバスには、天井部分に点検口が設置されており、下から持ち上げるだけで簡単にふたを開けることができます。点検口を開けると天井裏が見えますので、目視で界壁があるかどうか確認することが可能です。

 

たとえ設計図に界壁が書かれていても、実際には設置されていない場合がありますので、必ず目視で確認するようにしましょう。

 

 

違法なロフト付き物件

 

ワンルームの賃貸物件の中でも、ロフト付きの物件は室内空間を有効利用できることから比較的人気があり、不動産投資物件としてとても魅力的です。

 

ところが、建築基準法の規定を満たしていないロフトが時々あるため注意しなければなりません。
ロフトは建築基準法上「小屋裏物置等」といい、次のような規定があります。

 

・ロフト部分の床面積が、ロフトがある階の床面積の1/2未満である
・ロフトの天井高は、最も高い部分で1.4m以下である

 

これらの規定を満たしているロフトについては、固定資産税の課税対象面積である法定延床面積に含まれないというメリットがあります。

 

ですが、古いロフト付き物件の場合、天井高が1.4mを超えているケースがよくあるため注意が必要です。実際に内見して、ロフトに上がって立ち上がれるほどの高さがあれば、ロフトとしての規定を満たしていない可能性が高いでしょう。

 

大手ハウスメーカーの物件は比較的問題ないケースが多いですが、地元の工務店など小規模な会社が施工した物件については、ロフトの規定を満たしていないことがあるため注意が必要です。

 

高さ制限にも違反している可能性あり

 

ロフトの基準を満たしていないだけであれば、天井を下げることで対処できますので、そこまで高額な費用はかかりません。ただし、ロフトの天井高がオーバーしている物件は、建物自体の高さ制限に違反している可能性が高いことを頭に入れておきましょう。

 

高さ制限とは、日当たりや通風をよくするために、地域ごとに建物の高さに加えられている制限のことで、用途地域や都市計画によって上限となる高さが決められています。

 

万が一高さ制限に違反している場合は、是正することができないため取り返しがつきません。

 

ロフト付きの物件で、ロフトの天井高が1.4mを超えている場合については、建物自体が高さ制限に違反していないかどうか、現地で必ず確認することをおすすめします。

 

 

二方向避難

 

火災など緊急時の避難経路を確保するために、一定規模の建築物については2つ以上の直通階段の設置が義務付けられています。アパートなどの共同住宅の場合、その階の居室部分が200u、主要構造部が不燃材料でなければ100uを超えると2つ以上の「直通階段」が必要です。

 

直通階段とは

 

そもそも直通階段とは、建物のある階から階段を通って、地上への出入り口がある階に、迷わず容易に到達することができる階段のことをいいます。そのため、途中の階で階段が途切れていて、違う階段まで歩いて移動しなければならない場合は直通階段とはいえません。

 

二方向避難に違反するケース

 

次のような物件は、二方向避難に違反している可能性があるため注意が必要です。

 

・増築をした物件
・改修をした物件
・用途変更をした物件

 

増築、改修、用途変更したことによって、二方向避難に該当する状況となっているにもかかわらず、そのための直通階段の設置がされていない物件がよくあります。直通階段の設置には高額な費用がかかるケースがありますので、十分注意が必要です。

 

 

廊下の幅員に関する違反

 

その階の住戸部分の床面積が100uを超える共同住宅については、次のような廊下の幅員に関する規定を満たす必要があります。

 

片廊下タイプ:1.2m以上
中廊下タイプ:1.6m以上

 

片廊下とは、廊下の片側に部屋があるタイプで、中廊下とは廊下の両側に部屋があるタイプのことです。

 

幅員の計測方法

 

廊下の幅員については、最も狭い部分の長さで計測します。
そのため、エアコンの室外機置き場が廊下になっている物件については、室外機の部分から計測することになるため、実際の廊下の幅員よりも狭くなる点に注意が必要です。

 

また、手すりや柱なども幅員には含みません。

 

幅員違反は大きなリスク

 

廊下の幅員については、室外機の設置場所を変更する程度で是正できればよいのですが、根本的に狭すぎる場合については是正が困難な場合もあります。そのような物件を保有していて万が一火災が発生すると、所有者は非常に大きなリスクを負うこととなるため注意が必要です。

 

過去に幅員違反物件で火災が発生した際の事例では、安全な避難経路の確保は所有者の義務であるとして、ビルの所有者に有罪判決が出たこともありますので、幅員の確保には十分注意しましょう。

 

 

用途違反物件

 

建築物については、あらかじめどのような用途で使用するのかについて、行政に対して申請が必要となっています。例えば、同じ建物でも1階部分を倉庫として使用するのか、それとも事務所として使用するのかによって、適用される基準が異なるため、一定の要件に該当する用途変更をする場合については、申請が必要なのです。

 

ところが、実際は用途変更の申請をしないまま用途を変更して使用している物件が多いため注意しなければなりません。

 

用途変更が必要なケース

 

用途変更が必要となるのは、一定の特殊建築物のいずれかとする場合で、かつ、その用途の合計が100uを超える場合です。例えば、もともと事務所として使用していた部分を改修して住居として賃貸する場合については、面積次第で用途変更が必要になります。

 

また、建物1階部分を駐車場として申請している物件にもかかわらず、実際は事務所として使用されているケースがよくあります。

 

事務所については特殊建築物には該当しませんが、この場合は容積率が問題となる点に注意が必要です。駐車場を事務所に用途変更することで、緩和措置が受けられず、容積率がオーバーしてしまう可能性があるため、当初どのような用途で申請されているのか必ず確認するようにしましょう。

 

 

窓先空地に関する違反

 

窓先空地とは、共同住宅で火災が発生した際の避難経路を確保するための敷地のことで、1階住戸の窓から一定の空地を確保することが、一部の自治体で条例によって義務化されています。

 

規制の内容は自治体の条例によって異なり、東京都の場合は東京都建築安全条例によって、規定されているため、事前に確認が必要です。

 

駐輪スペースに注意

 

窓先空地の規定は、避難経路を確保することにあるため、単に通路があるだけではなく、避難上有効に連絡されている必要があります。ときどき、窓先空地であるにもかかわらず、スペースがあるからと駐輪スペースにしてしまっている物件がありますが、これでは避難経路としては不十分なため改善が必要です。

 

コンテナや倉庫の設置について

 

購入する物件の敷地にコンテナや倉庫が設置されている場合や、今後設置しようと計画している場合については、次のような規定があるため注意が必要です。

 

敷地にコンテナを設置して倉庫やコンテナハウスとして貸し出すケースがありますが、コンテナであっても、随時かつ任意に移動ができないコンテナについては、建築基準法上の建築物に該当するため注意が必要です。

 

つまり、コンテナについても建築確認申請が必要になります。

 

建築確認申請が必要なコンテナかどうかについては、一概には言えないため、すでにコンテナが設置されていたり、これから設置を考えていたりする場合については、事前に行政側に確認しましょう。

 

倉庫が建築物に該当するケース

 

敷地内にプレハブ小屋などの倉庫が設置されているケースがありますが、プレハブ小屋や物置など、単に地面に置くだけのものだったとしても、原則として「建築物」に該当します。

 

ただし、次のいずれかの基準を満たす倉庫については、小規模な倉庫として建築物には該当しません。

 

・奥行が1m以内かつ高さが2.3m以下で床面積が2u以内
・高さが1.4m以下で、床面積が2u以内

 

防火地域、準防火地域以外で10u以下の増築であれば、建築確認申請は省略できることとなっていますが、すでに上記に該当しない大規模な倉庫が敷地内に設置されている場合は、違法に設置されている可能性があるため注意が必要です。

 

 

まとめ
建築基準法の規定は非常に複雑なため、すべてを理解して物件を選定することは大変ですが、最低でも今回ご紹介してきた部分について把握しておけば、たいていの違反建築については判別できるはずです。

 

違反建築物とは気がつかないまま投資をしてしまうと、後で多額の改修費用がかかってしまい、大赤字を生んでしまう可能性がありますので、建築基準法など関係法令に適合して建っている物件かどうかは必ず確認しましょう。

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